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2022/05/27 レース

【レポート】5/27 ツール・ド・熊野 2022 第1ステージ赤木川清流コース

第22回 ツール・ド・熊野 2022(UCIアジアツアー2.2)
第1ステージ赤木川清流コース

▼開催日
2022年5月27日(金)

▼スタート&フィニッシュ
熊野川温泉さつき(和歌山県新宮市熊野川町日足707)

▼出場選手
増田成幸、阿部嵩之、堀孝明、小野寺玲、及川一総、宮崎泰史

▼コース概要
赤木川の川沿い16.4㎞×7周回 総距離:114㎞ 出走:105名(18チーム) 天気:晴れ スタート地点の気温:27度 アクチュアルスタート時間:10時02分

▼サマリー
 ツアー・オブ・ジャパンでの覚醒から、今大会も活躍が期待されていた宮崎が2周回目で痛恨の落車。コンディション不良で調整が遅れた堀も調子を上げられず、2人がリタイヤ。増田、阿部、小野寺が先頭集団に残ったが、スプリント勝負で数的に不利だったことも影響して小野寺が10位に。中間スプリントでボーナスタイムを得た阿部が、総合5位でステージを終えた。

▼レースレポート

ツアー・オブ・ジャパン(以下TOJ)の最終ステージから中4日。いや、宇都宮ブリッツェンにとっては、中2日でこのステージレースに臨むと言ってもいいだろう。日曜日に東京から宇都宮へ戻り、水曜日には約700㎞の車移動で和歌山入り。UCIアジアツアー2.2にカテゴライズされる国際ステージレース「ツール・ド・熊野」(以下熊野)が、今日から3日間の日程でスタートした。

先導バイクの黒板には「Long time no see!」の文字が躍る。今年、世の中のビッグイベントがそうであるように、熊野も3年ぶりの復活なのだ。ただ今回は、久しぶりとも言えない選手もいる。宇都宮ブリッツェンはTOJ新人賞の宮崎、そして初ステージレースという及川も加え、2人は初めての熊野だ。そのほか、コロナ前であればTOJで来日した海外チームがそのまま熊野に出るという流れであったが、今年は外国籍は1チーム(ただし全員日本人選手)だけで、日本籍のプロチームが9、そして海外チームのシートをクラブチーム8チームが埋める形となった。つまり、初の熊野というチーム、選手が多数存在する集団構成だ。

コースは赤木川沿いを上流に向かって上り、折り返して下る、どちらかというとスプリンターがターゲットにするレイアウトだ。ただ、道幅が狭い区間が多く、特にゴール手前2㎞地点はグッと左に旋回して狭い下りに入ったあと、すぐに激坂を上る。しかも車1台分の幅員。当然、全員が先頭で入りたいため位置取り合戦が激しく、あえなく後方になってしまった選手は集団復帰に脚を使う。まるでゴムが伸び縮みするかのようなプロトンは、地脚の力だけでなく、集団さばきのテクニックのある者だけが生き残れると言ってもいいだろう。 気温27度の中、レースはやはり、激しいアタック合戦から始まった。ようやく容認された単独逃げが2周半でつかまった頃、なんと期待の宮崎が落車。先に落車した選手に乗り上げてしまい、ろっ骨を強打。チームカーを待ち、バイクを乗り換えて前を追ったが、ろっ骨の痛みも激しく、徐々にその差が開いていく。宮崎のTOJの走りは、他チームの監督、選手も「強いな」と声を掛けるほどで、レースごとに輝きを増していた原石は業界の注目を集めた。それだけに、明日につながるようなんとかゴールを目指したかったが、レース途中であえなくリタイヤ。また、病み上がりの堀も序盤から苦しい状況でリタイヤに。堀はレース後、落ち込んではいたが、今の状況では仕方ないと言えよう。

 決定的な逃げとなったのは、4周回目(約58㎞地点)でできた3人の逃げに、5周回目で3人が追いついた6人。山本元喜選手(キナンレーシングチーム)、門田祐輔選手(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム)、兒島直樹選手(チームブリヂストンサイクリング)、⻄尾憲人選手(那須ブラーゼン)、中井唯晶選手 (シマノレーシング)、柴田雅之選手 (ヴィクトワール広島)の6人だが、そのうち、中井選手は1回目の山岳ポイントを取ったので、2回目を取って今日の山岳賞をモノにしたいという動きであった。そのためか、6周回目最後(残り17㎞地点)に出てくる2回目の山岳ポイントを通過後は先頭の協調が乱れたか、同時にマトリックスパワータグも集団ペースアップを図り始め、7周回目に集団は1つに。多くの予想通り、集団スプリント勝負となった。

 今年は最後のレイアウトが変わり、左直角コーナーを曲がってすぐにフィニッシュラインがくるため、コーナーに入る前の位置取りが重要だった。そしてそのためには、チームの力もさることながら、そもそもの人数も重要であった。宇都宮ブリッツェンは先頭に残ったのが増田、阿部、小野寺の3人。当然、小野寺のスプリント勝利を狙ったが、人数を残していたチームブリヂストンサイクリング、マトリックスパワータグとの力勝負には一歩及ばず。コーナーに入る前から集団先頭に位置した現役競輪選手、窪木一茂選手(チームブリヂストンサイクリング)がそのまま流れ込み、熊野の第1ステージを制した。

 落車の宮崎はレース後もろっ骨の痛みがひどく、本人の感覚では骨折はないと思うと言うが、正式な診断結果を待ちたい。なお、今回が初めてのステージレース出場という及川は、2分47秒遅れながらも73位でフィニッシュしている。2人が抜け4人で明日からのステージを戦わなければならない窮地だからこそ、チームに貢献し、進化を魅せる走りをしてくれると期待したい。また、中間スプリントを2位で通過した阿部がボーナスタイム2秒を獲得し、総合5位の好位置で第1ステージを終えた。

【第1ステージ後の監督・清水裕輔のコメント】

作戦としては積極的に逃げに乗って、アドバンテージを作ってレースを進めたかった。宮崎が落車をしてしまい、復帰叶わず。堀もリタイヤして、チームは4人で難しい戦いとなってしまった。その中でも、明日につなげられる走りができたと思う。最後、小野寺でゴール勝負したかったが、人数が少なくなってしまった中で、先頭でうちは3人と、枚数も足りず、ブリジストンのスピードにはかなわなかった。でも切り替えてやっていけば、勝利の可能性は充分ある。明日は4人で戦う。

 

【第1ステージ後の小野寺玲のコメント】

とても危険なコースなので、危険回避のために前で走っていた。最後は難しい展開ではあったが、個のスピード勝負で負けってしまったと思っている。チームメイトが3人遅れてしまい、連携もうまくできなかった。今日のステージはブリジストンの圧倒的なチーム力。それを前にして勝利は叶わなかったが、この後もチャンスがあれば勝負に絡んでいきたい。このツール・ド・熊野は苦手意識があるが、どこかで払しょくしなければならないと思っている。

 

【第1ステージ 区間賞 リザルト】

1位:窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) 2:31:17

2位:ネイサン・アール(オーストラリア、チーム右京) +0:00

3位:織田聖(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム) +0:00

10位:小野寺玲 +0:00

23位:増田成幸 +0:00

50位:阿部嵩之 +0:00

73位:及川一総 +2:47

DNF:堀孝明

DNF:宮崎泰史

 

【第1ステージ終了後 個人総合時間賞 リザルト】

1位:窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) 2:31:17

2位:ネイサン・アール(オーストラリア、チーム右京) +0:04

3位:織田聖(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム) +0:06

5位:阿部嵩之 +0:08

13位:小野寺玲 +0:10

26位:増田成幸 +0:10

73位:及川一総 +2:57

DNF:堀孝明

DNF:宮崎泰史

 

【第1ステージ終了後 団体総合時間賞 リザルト】

1位:愛三工業レーシングチーム 7:33:51

2位:キナンレーシングチーム +0:00

3位:EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム +0:00

8位:宇都宮ブリッツェン +00:00

 

【リーダージャージ】

個人総合時間賞 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)

ポイント賞 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)

山岳賞 中井唯晶 (シマノレーシング)

新人賞 香山飛龍(弱虫ペダル サイクリングチーム)