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2022/05/28 レース

【レポート】5/28 ツール・ド・熊野 2022 第2ステージ熊野山岳コース

第22回 ツール・ド・熊野 2022(UCIアジアツアー2.2)
第2ステージ熊野山岳コース

▼開催日
2022年5月28日(土)

▼スタート&フィニッシュ
世界遺産リゾート 熊野倶楽部(三重県熊野市久生屋町1330-2)

▼出場選手
増田成幸、阿部嵩之、小野寺玲、及川一総、(堀孝明、宮崎泰史は第1ステージでDNF)

▼コース概要
熊野倶楽部―28.4㎞→丸山千枚田―21.2km→札立峠―37.8㎞→丸山千枚田―17.1㎞→熊野倶楽部 総距離:104.5㎞ 出走:80名(18チーム) 天気:晴れ スタート地点の気温:27度 アクチュアルスタート時間:10時02分

▼サマリー
 TOJの総合TOP5を含む有力な逃げが2回目の千枚田で形成され、TOJ総合4位の増田もそこに入りゴール勝負に。タイム差なしのステージ7位で、総合はトップと6秒差の5位にジャンプアップ。明日の逆転に望みを繋いだ。

▼レースレポート

増田キャプテンが、今朝、チームメイトに放った今日のテーマは「限界突破」だった。

 ツール・ド・熊野(以下熊野)第2ステージは、クイーンステージと言える山岳ステージ。日本の棚田百選にも選ばれた丸山千枚田を2度上り、その間には上りも下りも厳しい札立峠を挟む。増田が言う通り「限界突破」しなければステージ勝利はない。

 レース前に増田は言う。「ツアー・オブ・ジャパン(以下TOJ)でワンツーを決めたチーム右京の2人を中心に今日は進むだろう。TOJでは力の差を見せつけられ、今日も自分にとっては厳しいレースになることは間違いないが、どこまで食らいついて行けるか。最後の千枚田の上りを2人と一緒に超えることができたら、そのあとの展開で、少しでも勝利を手繰り寄せられると思う」

 昨日のテクニカルな第1ステージで25名がレースを降り、宇都宮ブリッツェンも堀と宮崎を失って4人で戦う。今日は上りが厳しいだけでなく、気温は30度にもなる予報だった。

 今日の大きな流れを作ったのは、スタートから8㎞地点で形成された20人の逃げだ。今日のステージを争うことになるであろうキナンレーシングチーム、チーム右京、マトリックスパワータグが選手を送り込み、リーダージャージを擁するチームブリヂストンサイクリングも松田祥位選手がファーストアタックを決めるほど積極的に動いており、松田選手を逃げに留めることに成功した。切れるカードが少ない宇都宮ブリッツェンは、集団待機の選択を取る。
 集団はリーダーチームのチームブリヂストンサイクリングがコントロールし、逃げ容認モードに。それも1回目の千枚田を上る頃には、総合トップの窪木一茂選手が遅れ始めたため、集団先頭はチーム右京にスイッチ。宇都宮ブリッツェンも増田、阿部、小野寺の3人で1回目の山岳ポイントを集団内で通過する。
20人の逃げは最大3分半も広がり、TOJの富士山ステージで6位に入った山本大喜選手(キナンレーシングチーム)もいることから、このまま逃げ切り、地元キナンに悲願の総合優勝をもたらすか…とも思われたが、増田も警戒していたベンジャミン・ダイボール選手とネイサン・アール選手(ともチーム右京)がそれを許さない。

 今ステージ最大の勝負どころとなる札立峠の上り口は、阿部の献身的なけん引により、増田、小野寺ともに好位置でイン。しかし、チーム右京の2人の仕掛けが始まり、増田はなんとか食らいつき少しの遅れで札立峠をパス。峠の下りが終わったあたりで前の13人をかわし、これで先頭がシャッフルされた形になった。
 そうしてできた先頭は、2回目の千枚田の上りでセレクトされ7人に。このメンバーに注目していただきたい。トマ・ルバ選手、山本大喜選手(ともにキナンレーシングチーム)、小林海選手、レオネル・アレクサンダー・キンテロ・アルテアーガ選手(ともにマトリックスパワータグ)、ダイボール選手、アール選手(ともにチーム右京)、そして増田だ。これは先のTOJ個人総合TOP5に、同8位の山本選手、総合ポイント賞のキンテロ選手を加えたものである。粒ぞろいの先頭に、各チーム2人を送る中、ひとり立ち向かう増田。しかも先頭の中で最年長の38歳(ちなみに最年少はキンテロ選手の25歳)。
 フィニッシュまでの間は、増田は自分自身に「限界突破」と言い聞かせたに違いない。7人はけん制とアタックを繰り返し、増田も四面楚歌の中で抜け出しを図るが、すぐにつぶされる。
 各チームの思惑が重なり、けん制によってペースが落ちる合間に、千枚田で遅れた、山本大喜選手、ホセ選手、松田選手の3名が追いつき、最後は10名でのゴールスプリントへ。この中で最もスプリント力を有したキンテロ選手の先行勝ち。増田も最後の限界突破を実行し、タイム差なしのステージ7位。総合ではトップとのタイム差6秒の5位に浮上し(3~7位までがトップと6秒差)、明日の最終ステージでの逆転に大きな望みを繋いだ。
 明日の太地半島周回コースは、テクニカルな高速コースで、過去には総合逆転劇もあった。今日は及川がDNFとなってしまい、明日は3人での戦いとなるが、増田の総合逆転、阿部、小野寺のステージ優勝も狙える。明日もキャプテンからの檄を受け取り、渾身の走りを見せてもらおう。

【第2ステージ後の監督・清水裕輔のコメント】

例年と違い、難しい展開だった。実力同士のぶつかり合いとなり、増田が前で展開してくれた。うちが単騎という局面の中で、最後よく頑張ってくれた。ほかのメンバーも逃げに挑戦してくれた。また明日、最終ステージをしっかりやっていきたい。及川がDNFとなり、明日は3人で戦うが、増田が総合上位に入っている。すべての要素をひとつひとつよく見て、できることをやっていきたい。

 

【第2ステージ後の増田成幸のコメント】

最初の20人の大きな逃げグループに、キナンが何人か乗せていたので、今日はキナンに有利なレースになるなと思って走っていた。チームは4人だし、上れる選手は僕と小野寺しかいないので、序盤は大事に進めた。札立峠の7㎞のきつい、勝負どころの上りで、阿部が僕と小野寺をいい位置で連れて行ってくれ、上り口はストレスなく入れた。そこで、TOJの上位2人であるベンジャミン選手とアール選手(ともにチーム右京)の攻撃が始まった。そこからは少し遅れてしまったが、ルバ選手(キナン)、小林選手(マトリックス)と山頂を超えることができ、札立峠を下りきってしばらくしたら先頭に追いつくことができた。そこからは、最後の勝負に向けてうまく立ち回ったつもりだったが、最後は少し力が足りなかった。明日の最終ステージも危険なコースで、例年、逆転劇が起こりやすいステージなので、自分も逆転できるような走りをしたい。ステージ優勝も、阿部、小野寺が狙えると思う。両方を見据えてみんなで頑張っていきたい。

 

【第2ステージ 区間賞 リザルト】

1位:レオネル・アレクサンダー・キンテロ・アルテアーガ(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) 2:38:50

2位:ネイサン・アール(オーストラリア、チーム右京) +0:00

3位:小林海(マトリックスパワータグ) +0:00

7位:増田成幸 +0:00

20位:小野寺玲 +2:30

50位:阿部嵩之 +7:41

DNF:及川一総

 

【第2ステージ終了後 個人総合時間賞 リザルト】

1位:ネイサン・アール(オーストラリア、チーム右京) 5:10:01

2位:小林海(マトリックスパワータグ) +0:05

3位:レオネル・アレクサンダー・キンテロ・アルテアーガ(ベネズエラ、マトリックスパワータグ) +0:06

5位:増田成幸 +0:06

20位:小野寺玲 +2:36

45位:阿部嵩之 +7:45

DNF:及川一総

 

【第2ステージ終了後 団体総合時間賞 リザルト】

1位:マトリックスパワータグ 15:30:25

2位:キナンレーシングチーム +1:10

3位:チーム右京 +1:14

6位:宇都宮ブリッツェン +10:07

 

【リーダージャージ】

個人総合時間賞 ネイサン・アール(オーストラリア、チーム右京)

ポイント賞 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)

山岳賞 山本大喜 (キナンレーシングチーム)

新人賞 湯浅博貴(ヴィクトワール広島)