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2026/05/28 レース

【レポート】ツアー・オブ・ジャパン 2026 第5ステージ 綿半 信州飯田(UCIアジアツアー2.2)

【レポート】ツアー・オブ・ジャパン 2026 第5ステージ 綿半 信州飯田(UCIアジアツアー2.2)

 

▼開催日

2026年5月28日(木)

 

▼スタート&フィニッシュ

下久堅小学校グラウンド前(長野県飯田市下久堅940-1)

 

▼出場選手

谷順成

増田成幸

フォン・チュンカイ

岡篤志

武山晃輔

宮崎泰史

 

▼競技概要

パレード1.7km+10.8km+12.2km × 9周 総距離120.9km

出走:79名

スタート時間:10:00

▼レースレポート

南信州の美しい自然と厳しい地形が交錯する第5ステージ。平坦なセクションがほとんどなく、常にアップダウンが連続するタフなレイアウトが特徴だ。最大勾配11%の厳しい上りののち、下りの最後に位置するのが、大会屈指の名物スポット「TOJコーナー」だ。ヘアピンカーブでスピードを殺した後の再ダッシュは、集団の前方に位置していないとダメージが増す。過酷なインターバルを生き残った少数グループによる最終局面のスピード勝負、あるいは力のある実力者による強力な逃げ切り劇など、一瞬の隙が勝敗を分ける熱いステージが予想された。

 

Astemo宇都宮ブリッツェンは谷順成が現在総合11位につけており、その総合順位のプッシュアップが全体の目標。もちろんステージ優勝も狙い、谷のほか、増田成幸、フォン・チュンカイ、岡篤志、武山晃輔、宮崎泰史の全6名で戦う。

 

▼レース前の谷のコメント

「ツアー・オブ・ジャパンの本格的な総合争いはここから始まると思っており、今日が総合順位の鍵を握るレースになるはずです。自分自身、現在総合にしっかり絡めているので、今日の総合順位を明日の富士山ステージに繋げるという意味でも、強い気持ちを持ってステージ優勝を狙っていきたいと考えています。

 

例年やはり晴れるとこのコースは非常に暑いので、しっかりと暑さ対策をしながらレースを進めていかなければいけないと思っています。また、岡選手がこのコースで数年前に優勝していますので、チームとしても十分に優勝を狙えるのではないかと考えています。今日の個人総合でのジャンプアップ、そして自身のステージ勝利を目指して、期待に応えられるよう精一杯走ります」

 

強い日差しが照りつけ、ねっとりとした蒸し暑さが選手たちの体力を削る中、第5ステージの号砲が鳴り響いた。

 

アップダウンが連続するタフなレイアウトということもあり、レースはスタート直後から動き、1周回目から早くも15名の逃げ集団が形成されると、2周回目には14名へと絞り込まれた。今日はこの14名による先行グループと、それを追うメイン集団という構図が長く続いていくこととなる。

 

本ステージで特筆すべきは、まさにこの2周目に確立された14名の逃げの存在だ。まずAstemo宇都宮ブリッツェンにとっては、宮崎がこの前線に滑り込んだことが非常に大きかった。宮崎がチェックに入ったことで、チームは後方にコントロールの負担を背負うことなく、前後双方で展開を有利に進める権利を手にした。

 

そしてレース全体を読み解く上で、この14名の顔ぶれと、第4ステージ終了時点での個人総合順位を振り返ると、極めて興味深いデータが浮かび上がる。

 

<逃げの14名の総合順位とトップとのタイム差>

・ 5位 ジャコモ・ガラヴァーリャ選手(スワットクラブ) +0”41

・10位 マティアス・ブレンホイ選手(トレンガヌ サイクリングチーム) +0”50

・12位 シモーネ・ラッカーニ選手(TEAM UKYO) +0”54

・22位 山本 大喜選手(VC福岡) +1”21

・25位 山田 拓海選手(シマノレーシングチーム) +1”46

・28位 ナホム・ゼライ・アラヤ選手(TEAM UKYO) +3”01

・31位 フランチェスコ・カロッロ選手(スワットクラブ) +4”49

・32位 織田 聖選手(愛三工業レーシングチーム) +5”10

・33位 宮崎 泰史(Astemo宇都宮ブリッツェン) +5”14

・37位 ニルス・シンシェック選手(リーニンスター) +9”01

・39位 エリオット・シュルツ選手(ヴィクトワール広島) +9”49

・44位 トンマーゾ・ネンチーニ選手(ソリューションテック NIPPO ラーリ) +11”00

・62位 山本 元喜選手(キナンレーシングチーム) +20”41

・67位 マティアス・マルンベア選手(スワットクラブ) +22”05

 

この状況下、総合上位につけるガラヴァーリャ選手やブレンホイ選手は、この逃げを成功させて総合逆転を狙いたいという強い思惑を抱く立場にある。一方で、彼らの逆転を阻止せねばならないのが、ラッカーニ選手とアラヤ選手という強力な2名を送り込んでいるTEAM UKYOだ。

 

しかし、ガラヴァーリャ選手が所属するスワットクラブは、カロッロ選手とマルンベア選手を含む3名をこの逃げに送り込んでおり、数的有利を巧みに活かせる状況を作っていた。さらにチーム構成に目を向ければ、ほとんどのチームがこの14名の中に駒を送り込んでおり、「一体どのチームがリスクを背負ってメイン集団をコントロールするのか?」という、集団特有の心理戦も水面下で働いていた。

また、もう一つの見どころとなったのが山岳賞争いだ。山岳賞の総合トップに立つガラヴァーリャ選手が10ポイントを保持しているのに対し、わずか1ポイント差で追う山本元喜選手、2ポイント差のカロッロ選手、さらにはラッカーニ選手やシンシェック選手といったポイントホルダーが揃ってこの逃げに同乗。全部で3回設定された山岳ポイントが近づくたびに火花の散るような激しいバトルが繰り返され、これがレースの熱量をさらに引き上げる要因となった。

メイン集団と14名の逃げとのタイム差は、最大で2分24秒まで拡大。前線に送り込んだ宮崎は総合や山岳の争いには直接絡まない立場であるため、Astemo宇都宮ブリッツェンとしては、このまま宮崎でステージ優勝を狙いに行くか、あるいは後方で総合のエースである谷を最高の形で守り切るかという2つの明確なシナリオを描いていた。メイン集団内に留まる谷の周りには、武山、増田、岡、フォンが脇を固め、牙を剥くタイミングをじっと待つ。アタックを仕掛けたい衝動をグッと抑え、来るべき勝負の瞬間に備えてエネルギーを極限まで温存する戦略が、この過酷な暑さの中では最も重要であった。

 

膠着状態が破れたのは7周回目、山岳ポイントへと向かう上り口だった。直前のツール・ド・熊野でステージ2勝、総合2位という目覚ましいリザルトを残したオランダの実力者、シンシェック選手が逃げ集団から単独で鋭く飛び出す。この独走力のある一撃によって逃げは崩壊。

 

8周回目に入ると、シンシェック選手を除く追走の13名はメイン集団へと飲み込まれ、レースは「独走するシンシェック選手対メイン集団」の構図へと絞られた。

 

ファイナルラップを告げるコントロールラインを通過する時点で、先行するシンシェック選手と集団との差は40秒。追うメイン集団は、厳しいサバイバルによってわずか37名にまで絞り込まれていた。Astemo宇都宮ブリッツェンからは、チームの命運を背負う谷がただ一人、この精鋭グループに力強く生き残っていた。

 

集団の猛烈な追撃により、残り10km地点でついにシンシェック選手が吸収へ。その前にわずかに飛び出していたトンマーゾ・ダーティ選手(TEAM UKYO)とマッテオ・ファッブロ選手(ソリューションテック NIPPO ラーリ)の2名がシンシェック選手をパスすると、驚異的な粘りを見せるシンシェック選手もこれに食らいつき、3名が先行する形でステージ優勝争いへと突入した。

 

最後はこの3名によるスプリントとなり、他を圧倒するスピードを見せたダーティ選手が余裕を持ってフィニッシュ。今大会3勝目を挙げる圧倒的な強さを見せつけた。

 

一方、そのすぐ後方に迫った第2集団による激しいスプリント。Astemo宇都宮ブリッツェンの谷は、限界を超えた身体で上半身を大きく揺らしながら、渾身の力を振り絞ってペダルを踏み込んだ。激しいもがき合いの中、日本人最高位となるステージ15位でフィニッシュラインを駆け抜けた。

 

この粘りの走りにより、谷は個人総合順位を9位へとジャンプアップさせることに成功。チームが今大会の最低限の目標として掲げていた「総合10位以内」のポジションを、見事に手中に収めてみせた。

 

レース後、谷は他チームの日本人ライバルたちが果敢に攻める動きを見せていたことに触れ、現状の日本人最高位という立場には満足しないながらも、冷静に前を見据えていた。チームとしては、何よりもまずこの総合9位という位置を死守し、さらなるUCIポイントの獲得に向けて堅実に進むことが最優先事項となる。しかし、牙城を崩すためのステージ優勝も、決して諦めてはいない。

 

「まずは自身の総合順位をしっかり上げることに集中し、明日は自分のベストを尽くすことだけに注力したい」

 

谷が残したその力強い言葉は、明日、大会最大のハイライトとなるクイーンステージ「富士山」への確かな決意の表れだ。泣いても笑っても、最大の決戦は明日。このエースの背中に、Astemo宇都宮ブリッツェンはチーム一丸となってついていくのみだ。

レース後の谷のコメント】

チームとしての作戦は、私が総合順位をしっかりと守って明日に繋げること。そして、総合に関係のないメンバーが逃げに乗ればステージ優勝のチャンスもあるため、岡選手や宮崎選手がそこを狙っていくという方針。もし集団が一つになれば、上りスプリントが得意な私も狙いに行くという手筈でした。

1周目で形成された14名の逃げ集団に宮崎選手が入ってくれたことで、チームとしては後手に回ることなく、十分にステージ優勝を狙える展開を作ることができたと思います。

私自身は、逃げが吸収された際のペースアップにしっかり残れるよう、常に集団内で走っていました。周回中は武山選手や増田選手を中心に良いポジションで私をサポートしてくれたため、非常に有利な位置をキープできました。

ラスト2周からのペースアップでもしっかりと先頭集団に残ることはできたのですが、最終周に逃げ切ったメンバーにはついていくことができませんでした。なんとかセカンドグループでのゴールスプリントに賭けようとしたものの、最後は足がいっぱいいっぱいで、ついていくのが精一杯になってしまい、15位という結果になりました。スプリントを狙えなかった点は少し悔しさが残ります。

私自身が個人総合争いをするのは、2023年以来となります。久しぶりにこうして総合を争う位置で明日の富士山ステージを迎えられることになったので、明日はしっかり総合のジャンプアップを狙っていきたいです。

今日のレースでも、総合上位にいるシマノレーシングの山田選手が逃げをトライしていましたし、愛三工業の留目選手やキナンの小石選手たちも非常に積極的に動いていました。

現状、私が日本人の中では一番上の順位にいますが、みんな果敢にトライしてきているので、明日も間違いなく強敵になると思っています。ただ、そこはあまり意識しすぎず、まずは自身の総合順位をしっかり上げることに集中し、明日は自分のベストを尽くすことだけに注力したいです。

▼第5ステージリザルト

1位 トンマーゾ・ダーティ(TEAM UKYO)2h59'16"

2位 マッテオ・ファッブロ(ソリューションテック NIPPO ラーリ) +0'00"

3位 ニルス・シンシェック(リーニン スター) +0'00"

 

15位 谷順成(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +0’11”

40位 増田成幸(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +6’05”

45位 宮崎泰史(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +8’38”

50位 岡篤志(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +9’45”

66位 フォン・チュンカイ(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +13’13”

67位 武山晃輔(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +13’13”

 

▼第5ステージ終了後の個人総合リザルト

1位 トンマーゾ・ダーティ(TEAM UKYO)8h59'44"

2位 フェデリコ・イアコモーニ(TEAM UKYO) +0'31"

3位 ベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(VC福岡) +0'49"

 

9位 谷順成(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +1'14"

34位 岡篤志(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +13'03"

36位 宮崎泰史(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +14'02"

48位 増田成幸(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +21'44"

66位 フォン・チュンカイ(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +36'43"

67位 武山晃輔(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +36'48"

 

※全リザルトは下記URLをご参照ください。

https://www.toj.co.jp//2026/upfile/result_pdf/time5.pdf