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2026/05/27 レース

【レポート】ツアー・オブ・ジャパン 2026 第4ステージ Astemo 大鹿(UCIアジアツアー2.2)

【レポート】ツアー・オブ・ジャパン 2026 第4ステージ Astemo 大鹿(UCIアジアツアー2.2)

 

▼開催日

2026年5月27日(水)

 

▼スタート&フィニッシュ

大西公園(長野県下伊那郡大鹿村大河原)

 

▼出場選手

谷順成

増田成幸

フォン・チュンカイ

岡篤志

武山晃輔

宮崎泰史

 

▼競技概要

大西公園周辺周回コース 11.4km

出走:79名

スタート時間:10:00

▼レースレポート

大会の折り返しとなる第4ステージは、ツアー・オブ・ジャパン史上初となる「チームタイムトライアル(TTT)」が開催された。舞台は大西公園を拠点とする11.4kmの特設コースだ。さらに本ステージは、チームのメインパートナーであるAstemo社が冠スポンサーを務め、Astemo宇都宮ブリッツェンにとってはホームレースとなる。そのため、最も重要で、絶対に勝利を掴み取りたい特別な一戦だ。

 

コースは短い距離ながらも、アップダウンと細かなコーナーが組み込まれた非常にテクニカルなレイアウト。個人の純粋な走力だけでなく、いかにスピードを殺さずに滑らかなローテーションを維持できるか、そして登坂区間でチームの足並みを揃えられるかという、組織としての真の完成度が厳しく問われた。

 

Astemo宇都宮ブリッツェンは、ツール・ド・熊野参戦への移動途中、大鹿に立ち寄ってコース試走を実施。コースを知るアドバンテージに加え、先日のおんたけタイムトライアルで2位となった宮崎泰史、3位となった岡篤志を要する。その他、独走力と高い経験値を兼ね備えた谷順成、増田成幸、フォン・チュンカイ、武山晃輔がいる。これまで誰一人欠くことなく6名全員で臨んだ。

 

会場へ早めに入ったチームは、入念に2回の試走をおこなった。事前情報と今日の試走を踏まえ、誰がどの区間で先頭を引くか、スタート直前まで綿密な作戦会議が繰り返された。

 

今大会のチームタイムトライアルは、3番目にフィニッシュした選手のタイムがチームの公式記録となる。つまり、6名中3名が全力を出し尽くして途中で遅れたとしても、残る3名が脚を貯めて最後の仕事を完遂し、トップタイムを叩き出せば作戦は成功する。しかし、遅れた選手にも「チームタイムの30%遅れ以内でのフィニッシュ」という厳しいルールが存在し、これを越えると失格となり明日からのステージを走ることができない。極限のスピードと、チーム全体の精緻なマネジメントが求められる戦いだ。また機材についてはタイムトライアル用のバイクやパーツを使うことができない。選手の真の力が試される。

 

Astemo宇都宮ブリッツェンのスタートは15チーム中7番目の11時32分。それまでに出走したチームの中で暫定トップに立っていたのは、16分1秒33をマークしたキナンレーシングチーム。まずはこのタイムが大きなターゲットとなった。

 

いよいよAstemo宇都宮ブリッツェンがスタートラインにつく。向かって左端から増田、フォン、武山、宮崎、谷、岡の順で並ぶ。武山は昨日のステージで落車し、左足の傷が痛々しく残るものの、昨日は脚を温存する走りに切り替えてこの日を迎えた。緊張感が張り詰める中、総合順位を一つでも上げたい谷が大きく息を吐く。5秒のカウントダウンがゼロになり、運命のステージが始まった。

 

スタートと同時に、まずはベテランの増田が猛然と先頭に立ってチームを引っ張る。後ろのメンバーもスタートの並び順のまま、寸分の狂いもない見事な隊列を維持。6名のアライメントは大鹿村の美しい山々に鮮やかに映え、まるで一つの生き物のように流れるような隊列で、凄まじいスピードのまま突き進んでいった。

コントロールライン手前の登り区間に差し掛かると、まずはフォンが予定通りすべての力を出し切って役割を終え、続く武山へとバトンを繋ぐ。1周回目のラップタイムは5分23秒。

 

2周回目に入ると、途中で武山が離れ、さらに最後の登り手前で増田が戦線を離脱。ここからは宮崎、岡、谷の3名に勝負が託され、勝負の3周回目へと突入した。2周回目のタイムは5分21秒。キナンレーシングチームの暫定トップタイムを上回るには、最終ラップで最低でも5分15秒を叩き出さなければならない状況となった。

 

ここから3名による驚異的な追い上げが始まる。最後の登り区間、登り坂とは到底思えないほどのハイスピードで谷が猛烈に先頭を牽引。次いで岡、宮崎とローテーションを繋ぐ。限界を迎えつつあった宮崎は少し遅れ気味になったものの、最後の力を振り絞って執念で耐え抜き、最後は3名がほぼ横並びの状態でフィニッシュラインを駆け抜けた。

 

最終ラップのタイムは、なんと5分08秒。それまでの他チームの最速ラップであった5分16秒を遥かに上回る驚異的な走りで、キナンレーシングチームのタイムを8秒も更新。Astemo宇都宮ブリッツェンが堂々の暫定トップへと躍り出た。

 

その後、チームは暫定トップの証である「ホットシート」に腰掛け、後続チームの結果を待つこととなった。最終的に、チームの4つ後に出走したソリューションテック NIPPO ラーリがトップタイムを塗り替えて優勝。これまで無敗を誇っていたTEAM UKYOは、スタート早々の落車により1周回目から4名での戦いを強いられ、ソリューションテック NIPPO ラーリの僅か1秒45を上回れず2位となった。

 

最終結果、Astemo宇都宮ブリッツェンは4位。アジア人のみで構成されたチームとしてはトップ順位、誇るべきリザルトである。しかし、是が非でも勝ちたいホームレースとして万全の準備をして臨んだだけに、選手たちの表情には悔しさがにじむ。それでも、限界まで力を出し切ったその顔には、やれることはすべてやったという強い充実感が溢れていた。谷は言った。「どのチームよりも試走をし、レース開始ギリギリまでローテーションや、誰がどこを担当するかということを話し合った」と。増田は言った。「なかなかレースで満足することはないが、今日に関しては自分たちのベストを尽くせたという気持ちがある」と。これらの言葉にチームがどれだけこのレースに賭けてきたかが現れていた。

 

今日の結果で、谷が個人総合11位へと浮上。総合トップテンまでを外国人選手が占める中、日本人最高位に位置づけた。総合10位以内までにしか与えられない重要な「UCIポイント」の獲得圏内までは、あと僅か3秒差だ。明日からの走りで、さらに大きく順位を上げる可能性は十分に引き寄せた。

 

実は、このツアー・オブ・ジャパン第4ステージは当初別の場所での開催が予定されていたが、昨年末に急遽開催辞退が決まり、この大鹿村での代替開催が決定したという経緯がある。それと同時に、チームのメインパートナーであるAstemo社が冠スポンサーをつとめた。事前の試走から多大な協力をいただいた大鹿村の地域の皆様、そしてこの特別なステージの実現を支えてくださったAstemo社への深い感謝の念を抱き、チームは明日からのさらなる激戦へと挑んでいく。

レース後暫定1位の段階での谷のコメント】

私たちは事前にここで試走をさせていただき、今日も他のチームよりもたくさん試走する中で、レース開始ギリギリまでローテーションであったり、誰がどこを担当するかということを、他のチーム以上に細かいところまで話し合って挑みました。その結果、全員が力を出し切って、今は暫定1位という結果が出ているのだと思います。本当に全員がしっかりと力を出し切れた結果、自分たちの最高のパフォーマンスが出せたのではないかと思っております。応援ありがとうございました。

レース後暫定1位の段階での増田のコメント】

今日の作戦として、前半組(フォン選手、自分、武山選手)の3名が、最後に残る岡選手、宮崎選手、谷選手の3名をどれだけ温存させられるかという点にすべてがかかっていました。私が離れたタイミングは、もう本当にオールアウトしていましたし、その後ゴールラインまで帰ってきて『暫定1位』という結果を聞いたときは、本当に嬉しかったです。なかなかレースで満足することはないのですが、今日に関しては自分たちのベストを尽くせたという気持ちがあります。この後もし、自分たちよりも速いタイムが出てどこかのチームに負けたとしても、それはそのチームが私たちより強かったということで、その勝者を称えたいと思いますが、今は『自分たちはやり切った』という気持ちでいっぱいです。

レース後暫定1位の段階での岡のコメント】

本当にみんなで話し合って、これだけ準備をして、そして力を出し切ることができたので、満足のいく走りができたと思っています。これから他のチームがまだまだ走っていくので、最終的に勝てなかったとしても、まずは満足のいく走りができたと考えています。

▼第4ステージリザルト

1位 ソリューションテック NIPPO ラーリ 15'44"18

2位 TEAM UKYO +1"45

3位 スワットクラブ +5"11

4位 Astemo 宇都宮ブリッツェン +8"44

 

▼第4ステージ終了後の個人総合リザルト

1位 トンマーゾ・ダーティ(TEAM UKYO) 6h00'38"

2位 フェデリコ・イアコモーニ(TEAM UKYO) +0'10"

3位 ベンジャミ・ブラデス・レヴェルテル(VC福岡) +0'28"

 

11位 谷順成(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +0'53"

29位 岡篤志(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +3'08"

33位 宮崎泰史(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +5'14"

54位 増田成幸(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +15'28"

71位 フォン・チュンカイ(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +23'20"

72位 武山晃輔(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +23'25"

 

※全リザルトは下記URLをご参照ください。

https://www.toj.co.jp//2026/upfile/result_pdf/time4.pdf