【レポート】ツアー・オブ・ジャパン 2026 第6ステージ スルガ銀行 富士山(UCIアジアツアー2.2)
▼開催日
2026年5月29日(金)
▼スタート
冨士霊園前(静岡県駿東郡小山町大御神888-2)
▼フィニッシュ
ふじあざみライン五合目(静岡県駿東郡小山町須走)
▼出場選手
谷順成
増田成幸
フォン・チュンカイ
岡篤志
武山晃輔
宮崎泰史
▼競技概要
パレード8.1km+2.2km+10.3km×4周+2.4km+16.3km 総距離62.1km
出走:77名
スタート時間:10:30
▼レースレポート
大会のクイーンステージであり、個人総合優勝の行方を決定づける最大の決戦、富士山ステージ。冨士霊園前からの平坦周回をこなした後、最大勾配22%に達する日本屈指の激坂「ふじあざみライン」を一気に駆け登る。
標高差1,160m、距離11.4kmに及ぶ圧倒的なヒルクライム区間は、一切の誤魔化しが利かない。登坂の開始直後から強豪クライマーたちによる熾烈な削り合いが始まり、集団は瞬く間にバラバラに分断される。チームの平坦アシスト陣がいかに有利なポジションでエースを登り口へと送り届けるか、そしてバトンを受けたエースクライマーが自らの限界にどう挑むか。今大会最も過酷な大決戦が幕を開ける。
現在、Astemo宇都宮ブリッツェンは谷順成が総合9位につけており、日本人最高位をキープしている。10位以内に与えられる「UCIポイント」の獲得は、チームにとって極めて重要なミッションだ。
このUCIポイントこそが、ツアー・オブ・ジャパンや宇都宮ジャパンカップといった世界の強豪が集う「UCI公認レース」への出場権を左右する国際基準である。国内のJプロツアーでは常にトップクラスで戦うチームであっても、ひとたびこのポイントが不足すれば、国際舞台への道は瞬く間に閉ざされる。Jプロツアーを主戦場とする多くのチームがこうした大舞台に名を連ねられないのも、このポイントの有無が大きな壁となっているからだ。一度ポイントを失えば、次のUCIレースに出場する機会すら奪われるという「負の連鎖」は、決して他人事ではない。最悪の場合、地元開催でありチーム最大の目標である「宇都宮ジャパンカップ」への出場切符さえ失うというのが、我々に突きつけられている現実なのだ。世界の舞台を走り続けるためには、1ポイントでも多くもぎ取るべく、さらに上の順位を目指さなければならない。
このシビアな現実とプレッシャーの中、チームは誰一人欠けることなく今日のクイーンステージを迎えた。増田成幸、フォン・チュンカイ、岡篤志、武山晃輔、宮崎泰史の5名が、総力を挙げてキャプテン谷の背中を押し、さらなる高みへと押し上げる。
▼レース前の鈴木監督のコメント
「チームとしてはツアー・オブ・ジャパンへ入る前に、谷選手をエースとして総合で狙っていくぞという話をしていたので、しっかりここまで第1ステージ、第2ステージ、特にチームTTのところは、チームでも下見をして、しっかり準備してタイムをある程度確保しつつ、今日の富士山ステージを迎えられたのは本当によかったです。今日はもう本当に、ここは谷選手を信じて、チームみんなで助けて、アシストしながら、しっかり戦っていきます。結果はどうであれ、最後は力勝負になって、谷選手本人の体調もあると思うので、悔いのないように、しっかりいい成績が出たらいいなと願っています」
▼レース前の谷のコメント
「まずはここまでちゃんと総合争いをつなげてきて、久しぶりの富士山への挑戦権を得られたのかなと思っています。今日はもう自分の全力、自分の自己ベストを出せれば、十分総合のジャンプアップもあるのではないかと思っているので、とにかく自分のベストの走りを今日は目指していきたいと思います」
富士山はその雄大な姿を隠していたものの、遮るもののない強い日差しが照りつける、非常に暑いスタート地点から第6ステージの幕が開いた。
本格的な山岳ステージを前に、前半の平坦な周回コースからレースは激しく動き出す。1周回目から早くも6名の実力者が先行し、強力な逃げグループを形成した。メンバーは、ファーガス・ブラウニング選手(トレンガヌ サイクリングチーム)、アレッサンドロ・イアッキ選手(ソリューションテック NIPPO ラーリ)、織田聖選手(愛三工業レーシングチーム)、エリオット・シュルツ選手(ヴィクトワール広島)、ニルス・シンシェック選手(リーニンスター)、マティアス・マルンベア選手(スワットクラブ)だ。
この中に個人総合7位につけるブラウニング選手が入ったことで、メイン集団は総合リーダーを擁するTEAM UKYOがコントロールを開始する。総合首位のトンマーゾ・ダーティ選手とブラウニング選手との総合順位上のタイム差は1分9秒。先行する6名とメイン集団との差は最大で2分30秒まで開き、レース中盤はブラウニング選手がバーチャルリーダーとなる緊迫した展開が続いた。
しかし、最終周回の終わり、いよいよ勝負のふじあざみラインへとアプローチする手前でメイン集団のスピードが上がる。ここでAstemo宇都宮ブリッツェンも集団前方へと固まり、組織力を持って集団コントロールの動きに加わった。
残り11km。先頭の6名は約1分のアドバンテージを保ったまま、激坂が待ち受けるふじあざみラインへと突入。ここから先頭グループでは、ブラウニング選手とシンシェック選手がさらにペースを上げて飛び出しを図る。
後方のメイン集団は、厳しい登坂によって残り10km地点で30名ほどにまで一気に絞り込まれたが、Astemo宇都宮ブリッツェンのエース谷はしっかりとこの精鋭集団の中に位置をキープ。集団の先頭ではソリューションテック NIPPO ラーリが強力なペースを刻み、逃げの吸収へと動き出す。
激しい消耗戦が繰り広げられる中、残り5kmを切ったところでレースは最終局面を迎えた。粘るブラウニング選手が、ソリューションテック NIPPO ラーリのカミール・ボヌー選手とマッテオ・ファッブロ選手の2名に捕らえられる。
そのままの勢いでギアを掛けたファッブロ選手が、独走でフィニッシュラインを駆け抜けて優勝。2位にはボヌ-選手が入り、ソリューションテック NIPPO ラーリがワン・ツー・フィニッシュを飾る圧倒的な強さを見せた。
一方、大会5連覇がかかっていたTEAM UKYOにとっては波乱のステージとなった。昨年この富士山ステージを制したナホム・ゼライ・アラヤ選手がトップから1分50秒遅れの9位、さらにグリーンジャージを着用していたダーティ選手がトップから4分46秒差の18位と大きく遅れてフィニッシュし、リーダージャージを失う結果となった。
Astemo宇都宮ブリッツェンの谷は、極限のサバイバルレースの中でベストを尽くした。フィニッシュ前数メートルに現れる壁のような激坂に苦しめられながらも、1秒でも前でフィニッシュすべく、全身の力をペダルに込めて力走。総合リーダーだったダーティ選手より1つ上の順位となる、ステージ17位で過酷な富士山ステージを終えた。
この結果、総合リーダーの座はファッブロ選手の手に渡り、谷の個人総合順位は15位へと後退した。現在、総合10位の選手とのタイム差は2分3秒と、決して容易ではないギャップが存在する。
しかし、ツアー・オブ・ジャパン2026はまだ2つのステージが残されている。何が起こるか分からないのがステージレースの常であり、一つの展開や勝負のアヤ次第でリザルトが大きくシャッフルされる可能性は、最終日のフィニッシュラインを越えるまで決してゼロではない。自らの手で勝利をもぎ取るべく、ステージ優勝を狙った果敢なアタックの機会も貪欲にうかがっていく。
残り2日間、相模原、そして東京のステージへ向けて、Astemo宇都宮ブリッツェンらしいアグレッシブな走りを貫き、チーム一丸となって最後まで戦い抜きたい。
【レース後の谷のコメント】
率直に言ってやはり悔しいという気持ちが一番にあります。ツアー・オブ・ジャパンは本当に一日一日の積み重ねですが、富士山ステージでは一気にジャンプアップすることもあれば、すべて崩れ落ちることもあります。今日は良い方にはいかなかったなと感じており、非常に悔しいという一言に尽きます。ただ、ここまでチームメイトのみんなが本当に自分のために色々と助けてくれて、自分の走りだけに集中させてもらえたので、チームメイトには感謝しかありません。自分自身も全力を出し切ったので、またこの富士山ステージには来年以降もチャレンジしたいという思いがあります。
あざみラインに入ってから総合上位陣が動きましたが、最初の直線と馬返しまでの連続カーブ区間は、やはり無理をしてでも集団についていかないとタイムが出ないため、そこまでは何とか粘りたかったです。しかし、直線の登り区間がかなりオーバーペースだったため、なかなかそこへ最後までついていくことができず、カーブが連続する区間からは自分の一定のペースを保つような粘りの走りになってしまいました。そこが今日、タイムを失ってしまった要因だったのではないかと思います。
明日からの2日間、相模原ステージと東京ステージが残っていますので、ここからチームも巻き返していけるよう頑張ります。明日も応援をよろしくお願いいたします。
▼第6ステージリザルト
1位 マッテオ・ファッブロ(ソリューションテック NIPPO ラーリ)2h03’54”
2位 カミール・ボヌー(ソリューションテック NIPPO ラーリ) +0’32”
3位 エドアルド・セブルベダ(リーニン スター) +0’51”
17位 谷順成(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +4’39”
38位 岡篤志(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +13’46”
40位 増田成幸(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +14’43”
45位 宮崎泰史(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +16’39”
70位 武山晃輔(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +24’00”
71位 フォン・チュンカイ(Astemo 宇都宮ブリッツェン)+24’00”
▼第6ステージ終了後の個人総合リザルト
1位 マッテオ・ファッブロ(ソリューションテック NIPPO ラーリ)11h04’28”
2位 カミール・ボヌー(ソリューションテック NIPPO ラーリ) +0’59”
3位 ベンジャミ・プラデス・レヴェルテル(VC福岡) +1’02”
15位 谷順成(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +5’03”
35位 岡篤志(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +25’59”
36位 宮崎泰史(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +29’51”
44位 増田成幸(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +35’37”
68位 フォン・チュンカイ(Astemo 宇都宮ブリッツェン)+59’53”
69位 武山晃輔(Astemo 宇都宮ブリッツェン) +59’58”
※全リザルトは下記URLをご参照ください。
https://www.toj.co.jp/2026/file_upload/100548/_main/100548_01.pdf
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