【レポート】ツアー・オブ・ジャパン 2026 第3ステージ いなべ(UCIアジアツアー2.2)
▼開催日
2026年5月26日(火)
▼スタート
阿下喜駅前(三重県いなべ市北勢町阿下喜)
▼フィニッシュ
いなべ市梅林公園(三重県いなべ市藤原町鼎717)
▼出場選手
谷順成
増田成幸
フォン・チュンカイ
岡篤志
武山晃輔
宮崎泰史
▼競技概要
パレード3.0km+8.6km+14.8km × 8周 総距離127.0km
出走:87名
スタート時間:9:30
▼レースレポート
大会第3戦の舞台は、息をもつかせぬハイスピードな消耗戦が展開されるいなべステージだ。
本コース最大のハイライトは、コントロールライン通過後に立ちはだかる壁のような激坂、通称「イナベルグ」だ。最大勾配17%に達するこの急坂を終えると、間髪入れずに山岳ポイントへと突入する。この登坂セクションが選手たちの脚を削り、周回を重ねるごとに集団は分断されていくだろう。さらに、上りきった後のハイスピードなダウンヒル区間からタイトなコーナーへのアプローチなど、極限状態でのバイクコントロール技術も要求される。
Astemo宇都宮ブリッツェンは上りゴールを得意とする谷順成に期待がかかった。このコースはルール上でも「上りゴール」として扱われており、2022年のツール・ド・北海道第2ステージで上りスプリントを制した谷を、増田成幸、フォン・チュンカイ、岡篤志、武山晃輔、宮崎泰史でアシストしたい。また岡が現在総合6位。16位まで外国人選手が並ぶ中に、唯一入る日本人選手だ。谷、宮崎もそれぞれ30位と36位。第2ステージ終了時点の総合リザルトを見ると38位までがトップと23秒差で、実質この38人での総合争いとなるため、そこにAstemo宇都宮ブリッツェンは3名を入れて優位な立場だ。3名の内、誰でも上位に食い込めるよう、レース状況に合わせて対応していきたい。
<レース前の宮崎のコメント>
「ここまで2ステージを終えて、昨日の集団では比較的体を休めることができたので、今日もタイム差を失わないように、しっかり守りの走りができたらなと思います。いなべステージのコースの印象としては、イナベルグと言われる急な坂があり、全体としては平坦区間は長いのですが、イナベルグでパンチのある選手が飛び出して決まってしまったりということもあるので、非常にきつい印象のあるコースです。これまでの2ステージよりは、今日は少し厳しくなるかなと思いますが、チームで総合上位を狙う岡さん、谷さんと一緒に、できるだけタイム差を失わないように頑張りたいです」
スタート1時間前には会場入り。雨の心配こそないものの、湿度が高く蒸し暑さを感じる曇り空のコンディションの中、9時30分のスタートに向けて準備が進められた。
パレード3.0kmを経てアクチュアルスタートが切られると、直後から激しいアタック合戦が勃発し、集団は縦に長く伸びる。この消耗戦の中、1周回目で早くも5名の逃げが形成された。例年よりも早い段階で決まった逃げ集団のメンバーは、山本哲央選手(TEAM UKYO)、ニルス・シンシェック選手(リーニン スター)、山本元喜選手(キナンレーシングチーム)、フランチェスコ・カロッロ選手(スワット クラブ)、ティレン・フィンクスト選手(ソリューションテック NIPPO ラーリ)の5名だ。
2周回目に入ると、先行する5名とメイン集団との差は1分40秒まで開く。3周回目も5名がレースを先行する展開が続き、1分30秒後方のメイン集団はヴィクトワール広島やトレンガヌ・サイクリングチームがコントロールを担った。動きがあったのは4周回目。トレンガヌ・サイクリングチームがペースアップを図ると、先頭との差は一気に50秒差まで縮まる。5周回目には逃げ集団から山本元喜選手が脱落して先頭は4名となり、集団との差は57秒。Astemo宇都宮ブリッツェンは、岡、増田、谷、宮崎、武山の5名がメイン集団内でしっかりとレースを進めた。
6周回目に入ると現地は強い風に見舞われ、平坦の横風区間でメイン集団がペースアップを敢行。集団が分裂する場面も見られるなど、一気に緊迫感が高まる。このタイミングでエリオット・シュルツ選手(ヴィクトワール広島)が単独で追走を仕掛け、先頭4名との差を15秒まで縮めた。7周回目に入るコントロールラインでは、先頭4名と追走するシュルツ選手との差が15秒、メイン集団との差は1分26秒まで開き、集団は小さく絞られていく。ここでAstemo宇都宮ブリッツェンは増田が集団前方へ上がり、コントロールを開始した。7周回目の中盤、先頭からは山本哲央選手が脱落して3名に絞られる。
ファイナルラップに入るコントロールラインを通過する時、3名の先頭と集団との差は29秒まで迫っていた。その後、山岳ポイント(KOM)の下り区間を利用してメイン集団が前を捕らえる。これは前日の京都ステージと同様のパターンであり、上りで集団にしがみつき、下りでも先頭に食らいついていけたメンバーのみによるサバイバルレースとなった。残り9km地点では、見える範囲に迫った集団を前に、10数名が猛スピードで下っていく。ここから数名が抜け出しを図るも、それを追う集団との間で、また抜け出した数名同士の間でもお見合いが繰り返された。
残り7kmでようやく集団が繋がり、30名ほどの集団が形成される。Astemo宇都宮ブリッツェンでここへ残れたのは谷ただ一人となった。残り6km、集団は縦に伸び、大蛇のようにうねりながら抜け出しを一切許さない殺気立った雰囲気に包まれる。フィニッシュ前、TEAM UKYOのリーダージャージ・トンマーゾ・ダーティ選手が先頭を牽引し、その後ろを同チームのニコロ・ガリッボ選手、フェデリコ・イアコモーニ選手の2名が固める中、谷は集団後方でチャンスを窺った。
最後は集団スプリント勝負となり、ガリッポ選手が優勝を飾った。フィニッシュに向けて先頭集団が割れる激しい展開となったが、谷はきっちり前の集団に入り、トップとタイム差なしの17位でフィニッシュ。
レース後、谷は「自分の弱いところが出てしまった」と悔しさをにじませた。一方で、これまで総合6位につけていた岡が遅れて順位を大きく落としたものの、谷自身は総合14位へとジャンプアップを果たした。トップとは46秒差。総合3位までが頭一つ抜きん出ている状況だが、4位から谷のいる14位まではわずか15秒差の混戦模様だ。谷のこのステージに掛ける情熱が、今後のステージへと繋いでくれた。
明日はチームのメインパートナーの名を冠したAstemo大鹿ステージ。「Astemo宇都宮ブリッツェンの日にしたい」と谷が意気込む通り、チーム一丸となって1つでも上の総合順位を目指し、勝利を掴み取りたい。
【レース後の谷のコメント】
今日の目標は、岡選手がステージ優勝を、自分と宮崎選手が総合で遅れないようにすることでした。最後は登りゴールというレイアウトで、自分にも勝つチャンスがあったので、自分と岡選手で最後は狙っていこうと話していました。このコースは登り口をはじめ、いくつかの箇所で位置取りが鍵を握るのですが、増田選手やフォン選手、武山選手がしっかりと位置取りをやってくれたおかげで、途中までは前の方で登りもクリアできました。セレクトがかかった局面でもしっかりと前の方に残ることができ、最終周回も先頭集団で残ることはできました。しかし、最後は自分一人になったとき、自分の弱い部分が出てしまい、ゴール前の位置取りで後手を踏んでしまいました。先頭の優勝争いに絡むことができなかったので、自分の弱いところが出てしまった、本当に悔しいレースとなりました。ですが、総合に関してはまだチャンスがあります。明日は私たちのメインパートナーであるAstemoの名がついたAstemo大鹿ステージとなります。試走を何度も繰り返しているコースですので、明日が自分たちの日にできるよう、今日はみんなでしっかりとリカバリーをします。そして、明日に向けてミーティングを行い、必ず勝ちにいきたいと思います。
▼第3ステージリザルト
1位 ニコロ・ガリッポ(TEAM UKYO) 3h03’00”
2位 ベンジャミ・ブラデス・レヴェルテル(VC福岡) +0’00”
3位 オスカー・ギャラガー(シーキャッシュ×ボディラップ) +0’00”
17位 谷順成(Astemo宇都宮ブリッツェン) +0’00”
35位 岡篤志(Astemo宇都宮ブリッツェン) +2’24”
39位 増田成幸(Astemo宇都宮ブリッツェン) +4’22”
47位 宮崎泰史(Astemo宇都宮ブリッツェン) +4’22”
75位 武山晃輔(Astemo宇都宮ブリッツェン) +12’09”
76位 フォン・チュンカイ(Astemo宇都宮ブリッツェン) +12’09”
▼第3ステージ終了後の個人総合リザルト
1位 トンマーゾ・ダーティ(TEAM UKYO) 5h44’53”
2位 ベンジャミ・ブラデス・レヴェルテル(VC福岡) +0’10”
3位 フェデリコ・イアコモーニ(TEAM UKYO) +0’10”
14位 谷順成(Astemo宇都宮ブリッツェン) +0’46”
30位 岡篤志(Astemo宇都宮ブリッツェン) +3’01”
33位 宮崎泰史(Astemo宇都宮ブリッツェン) +5’07”
55位 増田成幸(Astemo宇都宮ブリッツェン) +12’41”
73位 フォン・チュンカイ(Astemo宇都宮ブリッツェン) +20’33”
74位 武山晃輔(Astemo宇都宮ブリッツェン) +20’38”
※全リザルトは下記URLをご参照ください。
https://www.toj.co.jp/2026/file_upload/100520/_main/100520_01.pdf
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