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2025/11/10 レース

【レポート】ツール・ド・おきなわ2025 チャンピオンロードレース(UCIアジアツアー1.2)

【レポート】ツール・ド・おきなわ2025 チャンピオンロードレース(UCIアジアツアー1.2)

 

▼開催日

2025年11月9日(日)

 

▼スタート&フィニッシュ

21世紀の森体育館(沖縄県名護市大南2-1-1)

 

▼出場選手

谷 順成

岡 篤志

ルーベン・アコスタ

武山晃輔

 

▼競技概要

沖縄県北部やんばる地区全域 総距離200km

出走:64名

スタート時間:6:45

▼レースレポート

 

ロードレースシーズン最後を締めくくるUCIレース「ツール・ド・おきなわ」が開催された。今シーズンの有終の美を飾りたいのもあるが、UCIポイントを獲得するためにも重要なレースだ。沖縄北部を交通規制しておこなわれる200kmの長丁場である上に、スタートが6時45分と日本一早い。沖縄最北端近くにある普久川ダム(山岳ポイント)を2回上り、その後に出てくる東海岸のアップダウンも非常に厳しく、最終的には真に力のある選手だけで競われると言っても過言ではない。Astemo宇都宮ブリッツェンは、体調不良のフォン・チュンカイを欠いてしまい、谷順成、岡篤志、ルーベン・アコスタ、武山晃輔の4名で出場した。

 

<レース前の谷のコメント>

「4人出走にはなってしまったが、4人とも調子がいいし、勝つために沖縄に来たので、チーム一丸となって勝利を目指したい。200kmという長丁場だが、チーム全員、長いレースは不得意ではない。ただ人数が少ないので、レースの展開にうまく乗っていかなければならないと思っている。しっかりコミュニケーションを取って、必ず表彰台…、そして優勝を狙いたい。例年、最初に行かせた逃げが10分以上開く展開が多い。それをどのチームが追うかという駆け引きになる。チームとしては逃げに誰か入れて、常に優位に進めたい。そして最後の上りにチームとしていい状態で持っていって、勝負できる選手で決めていきたい」

 

昨年は大雨による冠水でスタートから10km地点でレースキャンセルとなってしまったが、今年の予報は晴れ。しかし、スタート地点に向かう頃に予想外の雨となってしまい、スタッフは慌てて雨の準備をするという様子も見られたが、スタートの頃には止んで、レースに影響はなかった。

 

谷がスタート前に「チームとしては逃げに誰か入れて、常に優位に進めたい」とコメントしたが、その逃げに乗ったのは谷本人だった。

 

スタートから激しいアタックの打ち合いがあったが、40km地点で7名のエスケープが決まる。Astemo宇都宮ブリッツェンからは谷が入る。集団はイタリアチームのスワットクラブがコントロールし、逃げは2分40秒のタイムギャップを保って1回目の山岳ポイント(83km地点)を通過。トップ通過は孫崎大樹選手 (ヴィクトワール広島)で、谷は狙わずに来る勝負に備えた。Astemo宇都宮ブリッツェンとしては、このまま逃げが決まれば谷で勝負できる。ただこのあとに誤算が生じる。山岳ポイントからの下りでリー・ティンウェイ選手(チャイニーズタイペイナショナルチーム)とボレッシュ・ユリアン選手(レンベ・ラッド・ネット)が抜け出してしまう。7名で協調して行きたかったところだが、2名と5名に分かれ、谷は後ろの5名に。しかしそこは慌てず、5名はペースで踏んで先頭2名から30秒差ほどを開け、メイン集団とは2分のギャップを保った。やがて2人に追いつき再び7名となった。

レースが大きく動いたのは136km地点の2回目の山岳ポイントを過ぎたあとだった。集団が谷たちの7名を捉え、分裂を始める。その中でトマ・ルバ選手(キナンレーシングチーム)、山本大喜選手(チーム右京)の2名が抜け出しに成功。40秒ほどのタイムギャップで、集団には岡、アコスタ、谷が残った。集団はスワットクラブが完全にコントロールをし、残り25km地点あたりで2名を捕まえる。

 

再びレースは振り出しに戻るが、勝負に絡めるのは前に残った30名ほど。次の逃げを狙って岡を含め、各選手がアタックを仕掛けるが、レースをコントロールしていたスワットクラブが選手を送り込めなかった逃げはことごとく潰され、ようやく決まったのが残り13km。6名のエスケープに岡が入る。他のメンバーはジャコモ・ガラヴァリア選手(スワットクラブ)、チョン・ウホ選手(ソウル・サイクリングチーム)、ベンジャミン・ダイボール選手(ヴィクトワール広島)、増田成幸選手(チーム右京)、新城雄大選手(キナンレーシングチーム)。このうち、増田選手と新城選手が遅れ、勝負は4名に絞られた。

 

岡にとっては有利な展開だった。まずは序盤に谷が逃げに入ったことで脚を温存できていた。ダイボール選手は、これまでのレースもそうだったが、ゴールスプリントになると分が悪いので、必ず逃げを打とうとして先頭を引く時間が長い。ガラヴァリア選手は残り8kmあたりの上りで遅れる姿を見せていた。チョン選手も一度大幅に遅れて単独で復帰した経緯があった。脚を一番残していたのが岡だったし、「この中で一番のスプリント力があるのは自分だ」と自信があった。

 

ダイボール選手は最後まで先行を試みたが成功せず、4名でのスプリントに向けて牽制が始まった。フィニッシュまで400m地点になると、4名は止まってしまうほど速度を下げ、お互いの動きを観察した。岡は残り1kmでは3番手あたりをキープしていたが、牽制が始まると先頭に上がり、後ろからのアタックだけを警戒してフィニッシュラインが近づいてくるのを待った。そしてフィニッシュまで200m。満を持して腰を上げた岡は、力強いペダリングでツール・ド・おきなわ初優勝を遂げた。

 

岡は昨年もこの地にいたが、雨による冠水でレースがキャンセルされたため、ツール・ド・おきなわ出場は7年ぶり。リザルトを残せたことがなく、これほど長距離のレースで勝てた経験もなかったので、「今後の自信に繋がる」と、この勝利を特に喜んだ。今季の大躍進を象徴するような今季最終レースでの勝利。その影にはONE TEAMで戦い抜いたチーム力の向上があることは確かだ。

 

今季のロードレースの公式戦は、このツール・ド・おきなわが最後。1年間、レースを開催してくださった関係者の皆様、また常に声援を送ってくださったファンの皆様に感謝申し上げます。

レース後の岡のコメント】

チームみんなが前半から動いてくれた。序盤、谷さんがかなりいい逃げに乗ってくれて、自分は脚を温存して最終盤を迎えることができた。最後は展開にも恵まれた。平坦区間で6名で抜け出すことができ、このメンバーならスプリントで勝てると思ったので、とにかくちぎれないことだけに集中して、4名のゴールスプリントを制することができた。今季最後のレースを優勝という形で終われて、最高のオフシーズンに入れる。2018年以来、7年ぶりのツール・ド・おきなわ出場。個人的にはこのレースでいいリザルトを残せたことがなかった。また、ここまで長いレースで勝てたことがなかったので、この初優勝は嬉しいのと同時に、今後の自信につながると思う。

 

 

▼リザルト

 

1位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 4h42’28”

2位 ジャコモ・ガラヴァリア(シマノレーシングスワットクラブ) +0’00”

3位 チョン・ウホ(ソウル・サイクリングチーム) +0’00”

 

16位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +3’54”

34位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +16’21”

36位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +18’54”

 

※全リザルトは下記URLをご参照ください。

https://drive.google.com/file/d/1bIDslR7-tBi1uvMRZDD-GlMFWHX-TtxD/view?usp=sharing