【レポート】THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025(UCIアジアツアー1.2)
▼開催日
2025年7月13日(日)
▼スタート
武蔵野の森公園(東京都府中市朝日町3丁目)
▼フィニッシュ
JR青梅駅前(東京都青梅市本町192)
▼出場選手
谷 順成
フォン・チュンカイ
沢田 時
岡 篤志
武山晃輔
花田聖誠
▼競技概要
東京都多摩地域の一般道(調布市・三鷹市・小金井市・府中市・稲城市・多摩市・町田市・八王子市・日野市・昭島市・福生市・羽村市・青梅市)
パレード11km+57.1km+16.3km×4周+0.5m 総距離133.8km
出走:92名
スタート時間:7:30
▼レースレポート
TOKYO2020のレガシーとして2023年に開催された第1回大会が、UCI公認レース(アジアツアー1.2)に昇格し、戻ってきた。格上のレースになっただけでなく距離が72.6㎞から133.8㎞へと大幅に伸び、コースは公道を封鎖したパレードとラインレース68.1kmに加え、青梅駅付近を起点とした1周16.3kmの山岳周回コースを4周。最後は周回から外れて直角コーナーの後に、500mの直線を経て青梅駅前にフィニッシュする。獲得標高は2167mにもなる。
第2回大会とは言え、未知のコースが大半を占め、レース展開は読みにくいものに。そんな中、宇都宮ブリッツェンはフォン・チュンカイを台湾から呼び戻し、ほかに岡篤志、谷順成、沢田時、武山晃輔、花田聖誠と、集団スプリントでも逃げでも対応できる布陣で臨んだ。
<レース前の岡のコメント>
「スタートが非常に早いが、今日は涼しいし、暑さの心配がなく走れるかと思う。UCIレースになったということで多くの海外チームが出場する。中でも唯一のプロチームであるソリューションテック・ヴィーニファンティーニが台風の目になるだろう。他にも強い海外チームが来ているので、いろんな選手をチェックしながら走りたい。最後はかなりパンチのある上りの周回コースなので、単純なスプリントにならないだろうと思っている。そういうレースにブリッツェンは得意なので、全員で力を合わせて走っていきたい」
<レース前の谷のコメント>
「試走をしてみると、意外と平坦よりもアップダウンが多く、周回コースはかなり厳しい戦いになると思う。ただ、うちのチームは全員、今日のようなコースが得意なので、チーム力を生かして最後は優勝争いをしたい。今シーズンは前半戦でいい結果、いい走りができているので、前半戦の締めくくりとして優勝を目指して走りたい」
<レース前の鈴木監督のコメント>
「チームの状態はとても良いし、コースもうちに向いているので、結果に期待している。ソリューションテック・ヴィーニファンティーニが一番強力だと思うので、彼らがどう動くかを見ながら、ミーティング通りの走りをしていきたい。エースは岡選手、谷選手だが、沢田選手もスプリントができるので、その3人を中心に回していく。まずは表彰台を確保しつつ、できる限り優勝に近いポジションを取りたい」
TOKYO2020のスタートにもなった武蔵野の森公園に選手たちが到着したのは朝の6時過ぎ。公道を使用するレースのため、7時半スタートという早朝開催になったが、比較的涼しい時間帯にレースを終えられるのは、連日の猛暑でのレースと比べれば好都合だった。宇都宮ブリッツェンはスタートラインの前方に固まってスタート。11kmのパレード走行中も武山が審判車の真後ろに位置し、宇都宮ブリッツェンの意気込みを知らしめた。
その動きの通り、UCIレースとしての第1回大会となるTHE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025のファーストアタックは武山だった。その後もアタック合戦が続き、周回コースに入る前に逃げを決めたい思惑が交錯した。その中で、まずは最初の大きな動きとなったのが、残り94km地点で決まった武山とエリオット・シュルツ選手(ヴィクトワール広島)の2名の逃げだった。そこに、岡を含む10数名が合流し、そのまま10kmほどを逃げ続ける。しかし、勝負どころとなると目されていた山岳周回コースに入る手前で捕まってしまう。
その後、再びできた逃げに今度は沢田が乗り、最終的に14名の先頭集団となった。新城幸也選(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)やカーター・ベトルス選手(ルージャイ・インシュアランス)、今村駿介選手(ワンティ・NIPPO・リユーズ)などを有しており、そこに入れられなかったユーロサイクリングトリップス・CCNとVC FUKUOKAが集団を牽引することとなったが、この2チームでは差が縮まらず。ただ、山岳ポイントに向けた本格的な上りが始まると逃げが崩壊し、そのチャンスを逃すまいとVC FUKUOKAからは本多晴飛選手が強力な引きを見せ、ジェラルド・レデスマ・ガルシア選手を前に送り込むことに成功。やがてベンジャミ・プラデス・レヴェルテ選手も追いつき、VC FUKUOKAはこれで逃げに2名が入ることに。そのほか、ソリューションテック・ヴィーニファンティーニとヴィクトワール広島からもそれぞれロレンツォ・クアルトゥッチ選手と久保田悠介選手が合流し、2名を入れたチームとなった。
宇都宮ブリッツェンも、3回目の山岳ポイントへ向けての登り口で、キリロ・ツァレンコ選手(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ)と共に岡が合流。これで宇都宮ブリッツェンも2名になったと思われたが、ちょうどそのタイミングでクアルトゥッチ選手がアタック。クアルトゥッチ選手は3回目の上りでアタックしたいことを新城選手に伝えていたようで、新城選手はアシストに徹し、その上りまでを強力に牽引し、逃げメンバーの力を奪うことに注力していた。そのかいあってクアルトゥッチ選手の逃げは成功したが、プラデス選手もついて行ったので、勝負はこの2名の逃げとなった。
その動きの中で、山岳賞を積極的に取りに行ったのは沢田だった。ツアー・オブ・ジャパンの京都ステージで、あと一歩のところで山岳賞を逃した沢田。スタート前のプランにはなかったが、逃げに乗れたことであのときの忘れ物を取りに行くことに挑戦。ほかに山本大喜選手(JCL TEAM UKYO)が山岳賞を狙っていたようだが、全4回中2回を沢田がスプリントで1位通過。3回目は逃げの選手に上位通過を取られてしまったが、意地の粘りの走りで3位通過し、1ポイントを積算。累積11ポイントで沢田が山岳賞を見事に確定させた。
レースのほうは2名が逃げ切り、クアルトゥッチ選手が優勝。プラデス選手が2位、岡と一緒に集団に追いついたツァレンコ選手が単独で前を追って3位となった。
追走集団には山岳賞を取り終えたあとも食らいついていた沢田が残っており、最近好調のスプリントで集団の頭を取って4位に。山岳賞も取り、最後はスプリントを魅せ、最高のパフォーマンスで日本人選手の最高位にもなった。マウンテンバイクの現全日本チャンピオンが、UCIロードレースの山岳賞を取ったこともインパクトがある。
今回のTHE ROAD RACE TOKYO TAMA 2025はYouTubeでの中継に加えて、J SPORTSのほうでも中継された上に、フィニッシュや表彰式が青梅駅前だったこともあって、多くのファンや住民の方が集まり、ツール・ド・フランスさながらの沿道の光景を見ることができた。そこで宇都宮ブリッツェンが存在感のある走りをし、沢田が表彰台に立てたことはチームとしても大きかった。ロードレースはこれで前半戦が終了したが、沢田は来週がマウンテンバイクの全日本選手権だ。チームの挑戦は休むことなく続く。
【レース後の沢田のコメント】
序盤で集団が割れたときに、岡選手と武山選手が前に乗ってくれた。それがいい展開だったので、そこで脚を休めることができ、次の展開に備えることができた。岡選手たちが捕まったあと、ちょうどいい形で、メンバーの揃った逃げに乗れた。スタートする前は山岳賞を狙っていたわけではないが、逃げに入れたので、ツアー・オブ・ジャパンの京都ステージで逃した山岳賞に挑戦したいと思い、うまく山岳賞の1位通過を2回取れ、山岳賞を決めることができた。最後は両脚が攣っていたが、来週のマウンテンバイクの全日本選手権へ向けての最後の練習だと思い、追走の小集団に食らいつき、フィニッシュは、最近スプリントが調子良かったのもあって、集団の頭が取ることができた。優勝したクアルトゥッチ選手と2位のプラデス選手が抜け出したとき、オールアウトしてよければついて行くことはできたと思うが、最後までついていける可能性は低かったし、追走に残って前を追うほうを選択した。2人が逃げ切ったのは力の差だった。来週のマウンテンバイクの全日本選手権へ向けて、ちょっとやりすぎたかなと思うくらい走ることができたので、これで調子に乗らずにしっかり回復させて、調整すれば、来週もいい形で走れると思う。
▼リザルト
1位 ロレンツォ・クアルトゥッチ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) 2h46’29”
2位 ベンジャミ・プラデス・レヴェルテ(VC FUKUOKA) +0’03”
3位 キリロ・ツァレンコ(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ) +0’24”
4位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +1’12”
21位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +3’39”
22位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +3’39”
45位 フォン・チュンカイ(宇都宮ブリッツェン) +7’18”
48位 花田聖誠(宇都宮ブリッツェン) +7’18”
54位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +7’18”
山岳賞 沢田時(宇都宮ブリッツェン)
※全リザルトは下記URLをご参照ください。
https://www.the-roadrace-tokyo.jp/2025/wp/wp-content/uploads/2025/07/TRRT-CM_02.pdf
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