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2025/10/19 レース

【レポート】2025宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース

【レポート】2025宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース

 

▼開催日

2025年10月19日(日)

 

▼会場

宇都宮市森林公園(栃木県宇都宮市福岡町1074-1)

 

▼出場選手

谷 順成

フォン・チュンカイ

沢田 時

岡 篤志

ルーベン・アコスタ

武山晃輔

 

▼競技概要

宇都宮市森林公園周回コース 10.3km×14周 総距離:144.2km(山岳賞は3周、6周、9周、12周)

出走:111名

スタート時間:10:00

▼レースレポート

 

昨日のクリテリウムよりも肌寒い日曜日。今年も宇都宮森林公園には多くの観客が詰めかけ、会場は熱気に包まれていた。レース前には今シーズンを最後に引退する選手たちを、他チームの選手たちがロードバイクのホイールで花道を作るセレモニーを開催。毎年のようにジャパンカップで最後に一線を退く選手がいるが、今回が初めての試みだ。

 

コースは例年と変わらず、宇都宮森林公園駐車場前からスタートして古賀志山のヒルクライムをこなし、田野の交差点で再び駐車場前に戻ってくる周回コース。ヒルクライムは急勾配だが距離は本場ヨーロッパの山岳コースに比べると短く、ピュアクライマーよりもパンチャー系の選手が得意とする。山岳賞の設定も例年通り、3周、6周、9周、12周に設定されていた。

 

レース前、鈴木真理監督は「前半は各チーム動いてくると思う。ある程度逃げや戦術が決まってきて、チームが逃げに乗るか乗ってないかで後半の動きにチームで対応する」と話すが、その一方で「逃げには対応したいが、ここ数年は山岳賞狙いの逃げではなく(最後の)勝負にからむ逃げができている。そう簡単には入れない」と警戒。

 

監督として初めてのジャパンカップに「なにもお土産を持ち帰らず終わるわけにはいかない。なにかしらポディウム(表彰台)に上がれる成績を出したい。岡篤志か谷順成、エースを立ててみんなでアシストしていく。できる限りAstemo宇都宮ブリッツェンをアピールする」と意気込みを見せた。

 

10時にスタートの号砲が鳴った。1周目、古賀志山の下りで前日のクリテリウムを制したジョナタン・ミラン選手(リドル・トレック)を含む5名が抜け出した。そこに1名加わり、ミラン選手のほか、ゲオルク・シュタインハウザー選手(EFエデュケーション・イージーポスト)、ライナー・ケップリンガー選手(バーレーン・ヴィクトリアス)、ジェイミー・ミーハン選手(コフィディス)、フェリックス・エンゲルハルト選手(チーム・ジェイコ・アルウラー)、ファビアン・ヴァイス選手(TUDORプロサイクリングチーム)の6名が逃げ、最初の周回を終えて後続とのタイム差は42秒差になった。

 

メイン集団に容認された逃げの6名はそのまま1回目の山岳ポイント賞がある3周目に入る。ドイツのシュタインハウザー選手が山岳ポイント賞を獲得。その後、後続から単騎で追走してきたシモーネ・ラッカーニ選手(TEAM UKYO)が加わり、逃げる先頭グループは7名に。

4周回目で先頭との差を詰めるためかメイン集団が活性化し、追走グループが生まれた。追走グループは1分以上開いていたタイム差を、5周目に入る時点で20秒まで縮めた。ミラン選手は一度ドロップしたが、その代わりに追走メンバーをひっぱり上げて逃げ集団にジョインさせる。

 

7周回目で先頭グループからルカ・ヴァン・ボーヴェン選手(アンテルマルシェ・ワンティ)が単独で抜け出すと、8周完了時点で後続に1分54秒差のアドバンテージを得る。軽快にペダルを回す一人旅のまま9周目に入るが、後続の35名はリドル・トレック、EFエデュケーション・イージーポストの選手たちがコントロール。Astemo宇都宮ブリッツェンからは岡が加わっている。

 

残り5周となりボーヴェン選手は山岳ポイント後に追走に吸収され、先頭グループは19名になった。国内チームはここに日本人選手を送り込むことができず、UCIワールドツアーと力の差を見せつけられる展開になる。

 

12周目の山岳賞がかかる残り3周。フランス人ライダーのレニー・マルティネス選手(バーレーン・ヴィクトリアス)がヒルクライムで勝負をかけ、18名が篩(ふるい)にかけられた。脚のない選手は遅れていき、山頂後のダウンヒルで7名にしぼられた。残り2周の登りでもマルティネス選手は脚をゆるめず、さらに5名に減った。そこにライリー・シーアン選手(イスラエル・プレミアテック)が追いつき、6名でファイナルラップに突入した。

 

古賀志山の入り口でマルティネス選手が最後のアタック。さらにつづら折り区間での二段階アタックでライバルを引き離し、単独でダウンヒルに。追走に10秒以上のアドバンテージで田野の交差点を通過し、彼はフィニッシュラインへ飛び込んだ。見事な独走優勝だ。

 

チーム最高順位は岡の38位。結果こそ残せなかったが、レース後に「ジャパンカップあってのチーム。登りでもたくさんの方に名前を呼んでもらえて、終盤の登りでちぎれそうな時も踏みとどまることができて本当にありがたかった」と応援してくれるファンへの感謝の気持ちを語った。

レース後の鈴木監督のコメント】

前半からかなりハイスピードな展開で動いて、下りで集団が2つに分かれてもチームの全員が後ろに残されてしまった。その状況で消耗してしまったが、そこから岡と(他チームの選手が)4名ぐらいが前の集団にジョインできたのはよかったと思う。その後ろの大きな集団がさらに追いついてきたことで優勝争いの人数が増え、岡が追いつくのに脚を使っていたので展開的にも不利になっていた。

(UCIワールドツアーチームと)レベルの差は感じるが彼らは世界のトップで戦っている選手。ここで少しでも手応えのある成績、走りができるとチーム的にもやることが変わってくると思う。今回もより近づくためにはどうしたらいいか、課題が明確になってくる。ここからがまたスタート、来年しっかり戦えるようにしたい。
岡や他の選手たちも集団に残っていたのは、チームとしてこの先みんなの力が伸びてくればできることが増えてくる。その点はよかった。

 

 

レース後の岡のコメント】

序盤から厳しい展開になって自分もポジションを上げきれず、逃げにチームから誰も乗ることができなかった。そのあと4名で(後方集団から)抜け出して先頭に合流することができたが、そこでかなり脚を消耗してしまい、次の周でまた遅れてしまった。最後の周回は日本人トップグループで迎えられたが脚が残っておらず、非常に悔しいレースになった。

選手たちもバラバラになってしまい正直ちょっと他力本願になるシーンもあり、個々の力を出しきれない形になってしまった。自分のコンディションもベストではなかったが、最初の大きな集団に残れていたらもう少しいいレースができたと思う。やはりジャパンカップあってのチーム。登りでもたくさんの方に名前を呼んでもらえて、終盤の登りでちぎれそうな時も踏みとどまることができて本当にありがたかった。残り2戦、最後まで気を抜くことなく頑張りたい。

 

▼リザルト

1位 レニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス) 3:30’00”

2位 アレックス・ボーダン(EFエデュケーション・イージーポスト) +0’32”

3位 ヨン・イサギレ・インサウスティ(コフィディス) +0’33”

 

38位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +6’59”

47位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +9’03”

53位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +15’32”

DNF 谷順成(宇都宮ブリッツェン)

DNF フォン・チュンカイ(宇都宮ブリッツェン)

DNF ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)

 

▼山岳賞

3周回目 ゲオルク・シュタインハウザー(EFエデュケーション・イージーポスト)

6周回目 ニコロ・ガリッポ(TEAM UKYO)

9周回目 ルカ・ヴァン・ボーヴェン(アンテルマルシェ・ワンティ)

12周回目 レニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス)

 

▼アジア最優秀選手賞

留目夕陽(EFエデュケーション・イージーポスト)

 

▼U23最優秀選手賞

レニー・マルティネス(バーレーン・ヴィクトリアス)

 

※全リザルトは下記URLをご参照ください。

https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/documents/2025/10/2025UJC_Communique5_Result_RR.pdf