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2026/03/19 レース

【レポート】2026 ツール・ド・台湾 第5ステージ(UCIアジアツアー2.1)

【レポート】2026 ツール・ド・台湾 第5ステージ(UCIアジアツアー2.1)

 

▼開催日

2026年3月19日(木)

 

▼スタート

台東県・鹿野郷公所(Luye Township Office)

 

▼フィニッシュ

花蓮県・鯉魚潭遊客中心(Liyu Lake Visitor Center)

 

▼出場選手

フォン・チュンカイ

セルジオ・トゥ

増田成幸

岡篤志

宮崎泰史

 

▼競技概要

台東県・鹿野郷公所~花蓮県・鯉魚潭遊客中心 153.71km

出走:96名

スタート時間:10:00(現地時間)

 

 

2026年大会のフィナーレを飾る第5ステージは、台湾東部の「幸福台九線」を舞台に争われた。実に15年ぶりに復活したこのコースは、大会が10日間開催されていた2011年、西谷泰治氏(現愛三工業レーシングチームマネージャー)が優勝を飾り、当時22歳だったフォン・チュンカイが6位に入った。ちなみにAstemo宇都宮ブリッツェンの鈴木真理監督も選手として走っており、結果は84位だった。古くからのファンが待ち望んだ伝統のコースが、今大会最長の153.71kmという最終決戦の場として再び組み込まれた。

 

レースは台東県の鹿野郷公所をスタートし、中央山脈と海岸山脈に挟まれた細長い平野「花東縦谷(かとうじゅうこく)」を北上する。台湾で最も美しいサイクリングルートとして名高いこのエリアは、一見すると地図上では直線的に見えるが、実際には「台9線」特有の細かいアップダウンが絶え間なく連続する。

 

ただ幹線道路を使用するため道幅は充分にあり、少人数で逃げても集団の視界に入るので追いつかれやすい。今日も高速レースになることを見越して、Astemo宇都宮ブリッツェンの選手たちはリムハイトの高いVRECO ONE 65をチョイスする者が多かった。

 

中間スプリントポイントが2か所、4級山岳も2か所あり、限界に近い選手たちの足を容赦なく削っていくことが予想された。

 

最終日もAstemo宇都宮ブリッツェンはフォン・チュンカイ、セルジオ・トゥ、岡篤志、宮崎泰史、増田成幸の5名で臨んだ。

 

【レース前の鈴木監督のコメント】

「昨日は増田選手の素晴らしい活躍もありましたが、最終日の今日も、私たちは積極的に『攻めていく』走りをしていきたいと考えています。山岳賞がかかっている愛三工業と、現在総合1位のLotto Intermarchéとしては、その地位を守ってレースを終えればいいので、自分たちがコントロールしやすい選手を逃がしたいという思惑があるはずだと読んでいます。一方で、総合3位以下のチームは集団スプリントでの逆転を狙ってくるはずです。今日のコースはアップダウンがあるんですが道幅が非常に広く、前方の状況が視認しやすいため、集団側が逃げを捕まえやすいという側面もあります。展開を読み切るのはなかなか難しいところではありますが、集団スプリントになれば岡選手とフォン選手で勝負を仕掛けます。もしそれまでに逃げが決まるような展開になれば、フォン選手も自ら動いて逃げに入り、そのままスプリント。両選手それぞれが状況にしっかりと対応したいですね。最終的に集団スプリントになったら、岡選手で確実に勝利を掴み取りたいと思います」

 

【レース前の岡のコメント】

「ここ数日間、自分としては納得のいく走りができていませんでしたが、体調自体は決して悪くありません。最終ステージとなる今日は、なんとしてでも結果を残したいという強い気持ちでいます。
事前の確認では、道幅が広くスピードに乗るコースレイアウトだと感じていますが、総合争いが僅差なだけに激しい展開になるでしょう。僕たちは総合に絡んでいない分、その隙を突く走りができればチャンスは巡ってくるはずです。最後頑張ります」

 

【レース前の宮崎のコメント】

「連日の暑さにもようやく体が慣れてきました。昨日の第4ステージでは増田さんが逃げてくれたおかげで、集団内で体力を温存することができたので、最終日の今日は全力を出し切りたいです。今日のコースは勾配が緩く道も広いですが、一瞬の隙に集団が分断されて先行されると追うのが難しくなります。前々に位置取って、決定的な動きにしっかりと反応できるよう備えておきたいですね。5日間の集大成として、チームに貢献する走りをファンの皆さんにお見せしたいです」

 

この日はアクチュアルスタート直後のアタックはなく、最初の動きがあったのはスタートから約2分後。そこから激しいアタック合戦が始まる。コース幅が広いため決定的な逃げは生まれないが、集団は大きく伸びては分断され、再びつながるという展開を繰り返す。リーダーチームの Matys GRISEL選手を擁するLotto Intermarché でさえ、先頭で全力牽引するほどスピードは高く、各チームが分断を狙う消耗戦の様相を呈した。

 

そんな中、残り109km地点で3名の逃げが形成される。ここに Astemo宇都宮ブリッツェンからはフォンが入る。他はCormac MCGEOUGH選手(7ELEVEN CLIQQ ROADBIKE PHILIPPINES)、 Nattapol JUMCHAT選手(THAILAND NATIONAL TEAM)。さらに残り102km地点で 鎌田晃輝選手(Solution Tech Vini Fantini)、Max CAMPBELL選手(CCACHE x BODYWRAP) の2名が加わり、逃げは5名に拡大した。

 

このグループは一時メイン集団に対して1分近いリードを築くが、集団では TEAM UKYO がコントロールを開始。ペースが徐々に引き上げられ、残り87km地点で逃げは吸収される。それでも今日の最も印象的な逃げとなったし、事前ミーティング通りの逃げが打てたのは、チームとしては頼もしい動きだった。

レースが大きく動いたのは残り71km。KINAN Racing Team の強烈なペースアップにより集団が分裂し、先頭には22名の大きな逃げグループが形成された。ここには Astemo宇都宮ブリッツェンからは宮崎も入り、好位置を確保する。スタート前のコメント通りだ。

 

この22名のグループには小石祐馬選手、新城雄大選手、山本元喜選手(以上 KINAN Racing Team)や山岳賞ジャージの留目夕陽選手(愛三工業レーシングチーム)、 新城幸也選手(SOLUTION TECH NIPPO RALI)ら日本勢に加え、今大会を賑わしてきた総合2位のLuke Matthew FOX選手(Lotto Intermarché)や Liam WALSH選手(CCACHE X BODYWRAP)など実力者が揃い、後続との差は残り69km地点で約50秒、残り45km地点では1分にまで拡大した。

 

この状況で興味深い駆け引きが生まれる。総合1位、2位を守る Lotto Intermarché は前方グループに選手を送り込んでいたため牽引を控え、総合3位チームである Euskaltel-Euskadi が追走を強いられる展開となった。さらに、これまで集団牽引をしてきた Equipo Kern Pharma も前方に複数名を送り込んでおり、後方集団の追走は思うように進まない。

 

しかしレース終盤にかけて差は徐々に縮まり、小雨が落ち始めた残り33km地点でこの22名の先頭グループも吸収された。

 

集団が一つに戻った直後の残り31km、トゥが先頭でアタックに反応。自らも飛び出す積極的な動きを見せる。決定的な逃げにはならなかったものの、トゥはそのまま先頭で集団を牽引し続け、チームとして次の展開を探った。

 

その後 Fergus BROWNING選手(Terengganu Cycling Team) が単独で抜け出す場面もあったが、残り16kmで吸収。ここからは Lotto Intermarché が集団をコントロールし、時速45km前後の安定したペースでスプリントへ向けた展開へと移行する。

 

残り8kmでは 増田が集団先頭で力強く牽引。その背後約10番手付近にフォン、さらにその後方に岡が位置取り、Astemo宇都宮ブリッツェンはスプリント勝負に向けて前方をキープする。

 

残り5kmからは Equipo Kern Pharma と Lotto Intermarché が主導権を握り、緩やかな上り基調の最終局面でスピードが一気に上昇。

 

そのまま迎えた上りフィニッシュの集団スプリントを制したのは Lucas CARTER選手(KINAN Racing Team)。ハイスピードかつ分断の続く難しい一日を締めくくる勝利となった。

 

この日、Astemo宇都宮ブリッツェンは フォンのロングエスケープ、宮崎の先頭グループ入り、そしてトゥのアタックなど、序盤から終盤まで攻撃的なレースを展開。さらに終盤には 増田が先頭牽引を担うなど、チーム一丸となってレースを動かし続けた。

 

今大会はこの第5ステージをもって閉幕。新体制で臨んだ2026シーズンのこの初戦では、積極的にレースを動かす姿勢を示し、チームとして確かな存在感を残した。ここから舞台は国内レースへ。今回の経験を糧に、Astemo宇都宮ブリッツェンは日本のレースシーンで存在感を発揮し、この新しいチームで勝利を積み重ねていきたい。

レース後のフォンのコメント】

私たちのベストを尽くしました。とにかくそれが仕事です。まだシーズンは始まったばかり。日ごと、レースごとにコンディションは上がっていきます。次はツアー・オブ・ジャパンで結果を出していきましょう!

レース後の岡のコメント】

最終ステージは大人数でのスプリント勝負となりました。中盤に宮崎選手がかなり大きな逃げ集団に乗ってくれたり、終盤も増田選手が前を力強く牽引してくれたりと、チームが非常に良い動きをしてくれました。仲間の献身的な走りに応えるべく、自分自身もスプリントに向けて非常にモチベーションが高まっていましたが、最終的に結果を残すことができず、今はただ悔しいの一言に尽きます。この5日間で戦ってきた経験をしっかりと次に繋げられるよう、また前を向いて頑張っていきたいと思います。

レース後の鈴木監督のコメント】

作戦通り、序盤からフォンやトゥが攻める動きを見せ、中盤には20名近い逃げ集団に宮崎がしっかりと入りました。中盤のその大きい逃げは、総合順位に関わる選手が含まれる一方で、Euskaltel-Euskadi が入っていないという。展開次第ではそのまま逃げ切る可能性もある非常に緊迫した状況でしたが、最終的には人数が多すぎたこともあり、大集団でのスプリント勝負となりました。ラスト7kmから、道が狭く、うねっている難しいレイアウトにおいて、増田が先頭に立って右コーナーまで完璧に引き切り、フォンや岡を理想的な位置まで連れて行ってくれました。結果には結びつきませんでしたが、増田が見せたあの献身的な動きは、今大会において非常に大きな意味を持つものです。こうした姿勢を後輩たちがしっかりと引き継いでいけるようなチーム作りを、今後も目指していきたいと考えています。初戦ゆえの厳しさやトラブルも多い遠征でしたが、スピードにも慣れ、ここからはコンディションを上げていくだけだと思っています。次戦以降の走りをぜひ楽しみにしていてください。

▼第5ステージリザルト

 

1位 Lucas CARTER(KINAN Racing Team) 2h44’49”

2位 Liam WALSH(CCACHE X BODYWRAP) +0’00”

3位 寺田吉騎(Team Ukyo) +0’00”

 

23位 岡篤志(Astemo宇都宮ブリッツェン) +0’00”

45位 フォン・チュンカイ(Astemo宇都宮ブリッツェン) +0’00”

69位 宮崎泰史(Astemo宇都宮ブリッツェン) +0’00”

79位 セルジオ・トゥ(Astemo宇都宮ブリッツェン) +0’11”

95位 増田成幸(Astemo宇都宮ブリッツェン) +3’14”

 

 

▼第5ステージ終了後の総合リザルト

 

1位 Matys GRISEL(Lotto Intermarché) 13h37’18”

2位 Luke Matthew FOX(Lotto Intermarché) +0’04”

3位 Jordi LOPEZ CARAVACA(Euskaltel-Euskadi) +0’07”

 

48位 岡篤志(Astemo宇都宮ブリッツェン) +6’43”

67位 宮崎泰史(Astemo宇都宮ブリッツェン) +11’51”

76位 増田成幸(Astemo宇都宮ブリッツェン) +13’46”

82位 フォン・チュンカイ(Astemo宇都宮ブリッツェン) +16’44”

87位 セルジオ・トゥ(Astemo宇都宮ブリッツェン) +18’06”

 

 

▼個人総合順位(イエロージャージ)

1位 Matys GRISEL(Lotto Intermarché)

 

▼ベストスプリンター(グリーンジャージ)

1位 Paul HENNEQUIN(Euskaltel-Euskadi ) 52pt

 

▼ベストクライマー(水玉ジャージ)

留目夕陽(AISAN RACING TEAM)21pt

 

▼ベストアジアンライダー(ブルージャージ)

小石佑馬(KINAN RACING TEAM)

 

※全リザルトは下記URLをご参照ください。

https://www.tourdetaiwan.org.tw/_i/assets/file/download/e6ccc621ae6d7fad0046faedd63ba691.pdf