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2026/03/18 レース

【レポート】2026 ツール・ド・台湾 第4ステージ(UCIアジアツアー2.1)

【レポート】2026 ツール・ド・台湾 第4ステージ(UCIアジアツアー2.1)

 

▼開催日

2026年3月18日(水)

 

▼スタート

屏東県・高樹郷公所(Gaoshu Township Office)

 

▼フィニッシュ

屏東県・六堆客家文化園区(Liudui Hakka Cultural Park)

 

▼出場選手

フォン・チュンカイ

セルジオ・トゥ

増田成幸

岡篤志

宮崎泰史

 

▼競技概要

屏東県・高樹郷公所~大津~泰山~高樹~鹽埔~長治~麟洛~竹田~潮州~佳冬~新埤~萬巒~內埔~屏東県・六堆客家文化園区 131.2km

出走:97名

スタート時間:10:00(現地時間)

 

大会4日目、戦いの舞台は台湾最南端の屏東県へと移る。第4ステージは「屏東六堆ステージ」と銘打たれ、高樹郷公所をスタート。大武山の麓に広がる豊かな農村地帯や歴史ある客家(ハッカ)の集落を巡り、フィニッシュの六堆客家文化園区を目指す総距離131.2kmのコースレイアウトだ。

 

本ステージは山岳ポイントこそ設定されていないものの、序盤から細かなアップダウンが連続する。特に注目されるのは、56.38km地点、92.93km地点、そして119.30km地点の計3箇所に設置された中間スプリントポイントだ。前日はこの中間スプリントポイントでのタイムボーナスを狙って、逃げがまったく許されずにフィニッシュを迎える展開となった。

 

フィニッシュ地点は、残り700m付近で一度右に曲がり、その後フィニッシュラインに向けて一気に駆け上がる緩やかな登り基調となっている。ハイスピードな集団スプリント決戦になるのか、あるいは数名の逃げ切りが決まるのかは蓋を開けてみなければわからない状態でスタートを迎えた。

 

【レース前のフォンのコメント】

「今日は非常にフラットなコースレイアウトなので、最終的には集団スプリントでの勝負になるだろうと予想しています。ただ、現在総合のトップ3はタイム差が非常に僅差なので、彼らは途中のスプリントポイントでのタイムボーナス獲得も積極的に狙ってくるはずです。我々としても、逃げ集団に送り込むチャンスを伺いつつ、もし逃げが決まらなければ最終的なゴールスプリントに向けて、全力を尽くして勝負していきたいと考えています」

 

【レース前の鈴木監督のコメント】

「昨日の結果も踏まえると、今日も最終的にメイン集団が逃げを捕まえ、タイムボーナスを巡る争いになるのではないかと見ています。中盤から平坦区間では、中間スプリントポイント狙いだけでなく、積極的なアピールをしたいチームが逃げを作る展開になるでしょう。総合上位勢で1つでも順位を上げたいチームが、中間スプリントポイントでのタイムボーナスを得ようと集団をコントロールする動きが予想されます。一方で逃げを作りたいチームもあるので、我々もその流れを注視しつつ、誰かしらを逃げに乗せていきたいですね。フィニッシュ前は昨年と同様のレイアウトで、右に曲がってから緩やかに上っていく形になります。位置取りが勝負を分けることになるので、フォンと岡でうまく連携し、有利なポジションから勝利を狙わせたいと思います」

 

気温30度を越える真夏日の中、Astemo宇都宮ブリッツェンはフォン・チュンカイ、セルジオ・トゥ、岡篤志、宮崎泰史、増田成幸の全員でスタート。パレード走行の時点から、すでに前線に姿を見せていたのは、現台湾ナショナルチャンピオンのトゥだ。チームとして「今日は逃げに乗る」という明確な意思を感じさせる姿だった。

 

その姿が表していた通り、アクチュアルスタート直後のファーストアタックを仕掛けたのはトゥ。集団は一列棒状となって追従し、逃げは形成されなかったが、その後もトゥは前線に留まり続け、次々と生まれるアタックに反応していく。スタートから3kmでは増田が動き、2名の逃げを形成。しかしこの動きは2kmほど進んで吸収された。

 

それでもブリッツェン勢の攻撃は止まらなかった。8km地点ではフォンがアタックし、Josef DIRNBAUER(Hrinkow Advarics)とともに2名の逃げを形成。さらにCarter BETTLES(Roojai Insurance)が合流して3名となるが、この動きも3km進んだところで集団に飲み込まれた。

 

その後もトゥは何度もアタックに反応し、時には自ら加速して逃げを試みる。15km地点ではトゥを含む3名の逃げが一度決まりかけたものの、これも長くは続かなかった。さらに17km地点では増田が再び単独アタック。いったん捕まりかけながらも踏み直して差を広げる粘りを見せたが、残り19km地点で吸収される。集団前方ではトゥが何度も先頭に立ち、アタックの打ち合いをさばきながら次のチャンスを狙い続けた。

長く続いた攻防の末、決定的な動きが生まれたのは残り88km地点。増田を含む5名の逃げがついに形成される。メンバーは松井丈治選手(Asian Racing Team)、Jeroen MEIJERS選手(Victoria Sports Pro Cycling)、Jaebin YUN選手(Roojai Insurance)、Jaka PRIMOZIC選手(Hrinkow Advarics)、そして増田の5名。総合首位を擁するLotto Intermarchéがメイン集団をコントロールし、タイム差はおおむね1分30秒から2分の間で推移した。

 

2つ設定された中間スプリントでは、増田は無理な争いには加わらず安全に通過。ただし2回目のスプリントでは4位通過となり、タイムボーナス1秒を獲得している。

 

レース終盤に入ると逃げグループの協調が乱れ始める。残り36km付近ではYUN選手のみが先行し、一時的に集団の追撃が活性化。残り33kmではEquipo Kern PharmaとTeam Ukyoが牽引を開始し、追撃が始まるかに見えたが、再びLotto Intermarchéが主導権を握り集団は落ち着いた。

 

残り18kmで逃げは再び5名体制となるが、残り16km地点で増田がついに遅れ、単独で集団へ戻ることに。フィニッシュ後、増田は次のように振り返った。

 

「ゴールまで距離があり、集団とのタイム差を考えながら、いかに自分の脚を溜めつつ走るかという難しい駆け引きを続けていました。最後はペースを上げて粘ったのですが、この暑さと疲労もあり、完全に脚が止まってしまいました。逃げると決めて走った結果ではありますが、正直に言って今の自分のパフォーマンスには納得がいっていませんし、すごく悔しいです」

 

残った逃げグループも粘りを見せたが、メイン集団の追撃は強力。逃げは残り1.7kmで吸収され、レースは集団スプリントへと持ち込まれた。

 

フィニッシュは残り700mで右直角コーナーを曲がり、そこから緩やかな上り直線が続くレイアウト。コーナーの位置取り次第では岡にもチャンスのあるコースだった。岡はコーナーをおよそ30番手で入るものの、残り500mでは10番手付近までポジションを上げる。しかし各チームが複数人でトレインを組む中、単騎の岡はどのラインに乗るか判断に迷い、徐々に後退。最後まで理想の列車に乗ることができないままフィニッシュラインへとなだれ込んだ。

 

実は前日のスプリントでは、岡はDusan RAJOVIC選手(Solution Tech NIPPO Rali)に狙いを定めてスプリントを開始していた。しかしその日はRAJOVICがスプリントを行わず、予想とは異なる展開となっていた。その経験もあり、この日の最終局面ではライン選択にわずかな迷いが生じた可能性もある。だがレースは生き物であり、これもまた勝負の一側面と言えるだろう。結果として、今日のスプリントを制したのはそのRAJOVIC選手だった。

 

フィニッシュは集団スプリントとなったものの、この日もっとも印象的だったのはAstemo宇都宮ブリッツェンの積極的なレース運びだった。パレードから先頭に位置しファーストアタックを放ったトゥ、序盤に逃げを試みたフォン、そして幾度もアタックを繰り返した末にロングエスケープを成功させた今大会最年長の増田。チームミーティングで共有された「今日は逃げに乗る」というミッションを、チーム全員が明確な形で遂行した一日となった。

 

今大会ここまで思うような結果に恵まれていなかったブリッツェンだが、新体制で迎えた2026年のチームとして、全員が同じ意図を持って機能したことは大きな収穫。最終ステージでも、この積極的な走りから新たなチャンスを掴みたい。

レース後の岡のコメント】

チームとしては、増田選手がロングエスケープに乗ってくれたことが非常に大きく、レース全体を通して良い流れを作ることができました。私自身も増田選手のおかげで集団内で脚を溜めることができ、良い形でスプリント勝負に備えることができましたが、最後のスプリントでは思うようなライン取りができず、不完全燃焼な結果に終わってしまいました。今大会、チームとしてなかなか思うような走りができていない状況が続いていましたが、今日は増田選手が積極的な走りをしてくれてよかったと思います。

レース後の増田のコメント】

今日はチームとして前半から積極的に逃げを狙うというプランがあり、私自身が今ステージ最も長く続いた逃げに乗ってレースを展開しました。逃げができたとき残り距離がまだ十分にあり、集団とのタイム差をうまくコントロールしながら、自分の脚を溜めつつ逃げ続けました。最後はペースを上げて勝負をかけましたが、途中で完全に足が止まってしまいました。自分のパフォーマンスには全く納得がいっていません。連日の暑さもあり、非常に厳しいコンディションではありますが、明日が最終ステージとなります。今は足にかなりの痛みがありますが、しっかりとケアをして回復に努め、チーム全員で一丸となって最後の戦いに臨みたいと思います。

レース後の鈴木監督のコメント】

今大会、チームとしてなかなか見せ場を作ることができず、どのように展開していくべきか模索する日々が続いていました。ミーティングでは、最後はリーダーチームなどが集団をまとめてくることは分かっていましたが、あえて「捕まることを承知で、しっかりと逃げを作っていこう」という話をしました。その中で、チーム最年長、また今大会最年長である増田選手が、彼の持つ強い意志を感じさせる走りで逃げを作り、残り10km付近まで粘り強く踏ん張ってくれました。この彼の積極的な姿勢こそが、今日の大きな見せ場になったと感じています。チームとしては、連日のトラブル続きで、選手たちは集中しづらい状況にありましたが、増田選手がそれらを吹き飛ばすような走りを見せてくれたことは、チームにとって非常に大きな意味がありました。この良い流れを明日からの戦いに繋げ、さらに頑張っていきたいと思います。

▼第4ステージリザルト

 

1位 Dusan RAJOVIC(Solution Tech Nippo Rali) 2h44’49”

2位 Paul HENNEQUIN(Euskaltel-Euskadi) +0’00”

3位 Andrea D’AMATO(Team Ukyo) +0’00”

 

21位 岡篤志(Astemo宇都宮ブリッツェン) +0’00”

49位 フォン・チュンカイ(Astemo宇都宮ブリッツェン) +0’00”

83位 宮崎泰史(Astemo宇都宮ブリッツェン) +0’26”

88位 セルジオ・トゥ(Astemo宇都宮ブリッツェン) +1’11”

95位 増田成幸(Astemo宇都宮ブリッツェン) +1’51”

 

 

▼第4ステージ終了後の総合リザルト

 

1位 Matys GRISEL(Lotto Intermarché) 10h12’31”

2位 Luke Matthew FOX(Lotto Intermarché) +0’04”

3位 Jordi LOPEZ CARAVACA(Euskaltel-Euskadi) +0’07”

 

48位 岡篤志(Astemo宇都宮ブリッツェン) +6’43”

64位 増田成幸(Astemo宇都宮ブリッツェン) +10’32”

69位 宮崎泰史(Astemo宇都宮ブリッツェン) +11’51”

83位 フォン・チュンカイ(Astemo宇都宮ブリッツェン) +16’44”

87位 セルジオ・トゥ(Astemo宇都宮ブリッツェン) +17’55”

 

 

▼個人総合順位(イエロージャージ)

1位 Matys GRISEL(Lotto Intermarché)

 

▼ベストスプリンター(グリーンジャージ)

1位 Matys GRISEL(Lotto Intermarché) 40pt

 

▼ベストクライマー(水玉ジャージ)

留目夕陽(AISAN RACING TEAM)21pt

 

▼ベストアジアンライダー(ブルージャージ)

小石佑馬(KINAN RACING TEAM)

 

※全リザルトは下記URLをご参照ください。

https://www.tourdetaiwan.org.tw/_i/assets/file/download/cb2d69a8d508814bb5827cf0d55506ae.pdf