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2025/05/21 レース

【レポート】Tour of Japan 2025 第4ステージ 【美濃】UCIアジアツアー2.1

【レポート】Tour of Japan 2025 第4ステージ 【美濃】UCIアジアツアー2.1

 

▼開催日

2025年5月21日(水)

 

▼スタート

旧今井家住宅前(岐阜県美濃市泉町1883)

 

▼フィニッシュ

美濃和紙の里会館(岐阜県美濃市蕨生1851-3)

 

▼出場選手

谷 順成

沢田 時

岡 篤志

ルーベン・アコスタ

武山晃輔

菅野蒼羅

 

▼競技概要

旧今井家住宅前→横越→美濃和紙の里会館前周回コース パレード4.0㎞/11.3㎞ + 21.0㎞ x 6周 総距離137.3㎞

出走:87名

スタート時間:9:15

▼レースレポート

 

ツアー・オブ・ジャパンはようやく半分の4日目、美濃ステージが行なわれた。美濃ステージといえばおなじみ「うだつの上がる町並み」がスタート地点。江戸時代の町並みが残る国の伝統的建造物群保存地区で、外国人選手にとっては最も「日本でレースを走っている」と思わされるスタート地点になるのではないだろうか。いや、日本人にとっても「これが“うだつ”なのか」と思わされる特別な場所だ。

そんな美濃ステージは、ツアー・オブ・ジャパン8日間を見ても少し特別なステージになると言ってもいい。まず大会4日目、そして、スプリンターに有利なステージであることが、このステージを特別にしている。

4日目にもなると、総合を狙うチームが固まってきて、かつ、選手の疲労が蓄積してくる。特に厳しいいなべステージの直後。そして翌日は山岳ステージとなる信州飯田ステージ、その後は総合逆転も狙える富士山ステージというスケジュール。総合を狙うチームの「少し脚を休ませたい」という思惑と、総合を狙えないチームの「ステージ優勝を飾りたい」という思惑が交差するのが美濃ステージだ。ロードレース特有の“目には見えないネゴシエーション”が成立すると、レースの行方がピタッと枠にはまる。

 

<レース前の沢田のコメント>

「昨日のいなべが激しいステージで、最後はグルペットでゴールしたとは言え、体にダメージがあるなと感じる。美濃ステージを走るのは初めてだが、平坦コースということで、かなり流れて、昨日までと比べたら楽になるのではないかと聞いている。少し気持ちは楽だが、何が起こるかわからないので、気を引き締めてチームでまとまって走りたい。篤志がステージ優勝しているが、まだまだ勝ち星を重ねたいとチームで思っている。最後は最低でも総合トップ10圏内に入れるよう、しっかりアシストしていきたい」

 

レースは結論から言うと、ネゴシエーションがしっかり成立し、総合を狙うチームの計算尽くされたレース運びもあり、ステージレースの教科書になるような、ある意味おもしろいレースとなった。

今日のレースは周回コースの最初もパレード区間になっていたため、0周回目というのがあったのだが、正式スタートが切られると一気に集団が縦長に伸び、その0周回目から逃げが決まった。宇都宮ブリッツェンも沢田が逃げにトライしたが、リーダーチームがそれを許さず。最終的に逃げを決めた5人を見てみると(※チーム名のあとの数字は昨日までの総合順位とトップとのタイム差)、宇田川塁選手(愛三工業レーシングチーム)47位+12’06”、風間翔眞選手(シマノレーシング)48位+12’09”、アイマン・チャヒヤディ選手(トレンガヌ サイクリング チーム)59位+16’44”、ヨン・クノレ選手(レンベ・ラド・ネット)67位+20’55”、カーター・ベトルス選手(ルージャイ インシュアランス )85位+24’38”と、「このまま逃げ切られても総合順位は脅かされない」と判断された選手が逃げを成功させた。これは逃げる選手にとっては好都合で、逃げ切りで勝つ可能性が高いとなると、協調性も生まれる。実際、逃げと集団の差は3分以上も開く。集団の先頭はシーキャッシュ X ボディラップが引いたが、その後ろでリーダーチームのJCL TEAM UKYOが集団の動きを監視。ただ、残り1周と6kmほどになると、しびれを切らしたワンティ・NIPPO・リユーズとキナンレーシングチームが牽引を始め、逃げとの差が1分50秒まで一気に縮まったが、それに待ったをかけたのがシマノレーシングで、逃げに前哨戦の堺国際クリテリウムで優勝した風間選手がいるため、集団に蓋をするような動きに出た。これでまた集団と逃げの差が開き始める。各チームの思惑がひしめく、これぞロードレースという内容だ。

最終的には総合を狙うチームの思惑通り、逃げ切りとなり、なんと今回がステージレース初参戦という22歳、宇田川選手がスプリントを制した。愛三工業レーシングチームはこのレースのホストチームであったし、逃げがもし捕まっても日本屈指のスプリンター窪木一茂選手、岡本隼選手がいたので、余力を残してレースを運べたのがあるのかもしれない。

宇都宮ブリッツェンとしては、集団内で脚を休めて、明日からのステージへの準備にもなったが、思惑と違ったのは、リーダーチームも休めたということ。もう少し危険な逃げであればリーダーチームが追うこととなり、ダメージを与えられたかもしれないが、そこは徹底して逃がしていい選手だけを前にやったのは、鈴木監督も「やっぱりうまい」と称賛する。

宇都宮ブリッツェンは岡がメイン集団の25位でゴールし、菅野以外の他4名も同集団内に。菅野は初めてのツアー・オブ・ジャパンで遅れ気味ではあるが、毎日必死でフィニッシュラインを目指している。岡の総合順位は変わらず3位でタイム差もそのままだが、ポイント賞3位だったアンドレア・ダマト選手(JCL TEAM UKYO)が今日9位でフィニッシュして7ポイントを獲得したため、3ポイント差まで迫られてしまった。とは言え、明日もポイント賞2位でブルージャージを着て出走する。明日は1級山岳を10回も上ることとなる厳しいステージだ。

【レース後の鈴木監督のコメント】

予想通り逃げが決まったが、総合下位の選手が多く入ったことで、JCL TEAM UKYOにダメージを与えることができなかった。そこはちょっと残念。逃げのメンバーを選別したところは、やはりJCL TEAM UKYOはうまいなと思う。チームとしては沢田が逃げに入れるかどうか…というところだったが、マークされていたように思う。下位選手を逃がすというセオリーで、沢田は逃がしてはならない選手の方に選別されてしまったのだろう。チームの今日のメリットとしては休憩できたこと。明日からは厳しい山岳ステージが始まる。ステージレースで大切なのは、少しでもタイムを稼いで、少しでも上位にいること。引き続き頑張りたい。

▼第4ステージリザルト

1位 宇田川塁(愛三工業レーシングチーム)3h09’35”

2位 アイマン・チャヒヤディ(トレンガヌ サイクリング チーム) +0’00”

3位 ヨン・クノレ(レンベ・ラド・ネット) +0’00”

 

25位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +0’16”

54位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +00’16”

56位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +0’16”

61位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +0’16”

65位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +0’16”

84位 菅野蒼羅(宇都宮ブリッツェン)+3’31”

 

 

▼第4ステージ終了後の個人総合リザルト

1位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)8h51’00”

2位 マティアス・ブレンホイ(トレンガヌ サイクリング チーム) +0’16”

3位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +0’33”

 

27位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +1’02”

42位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +9’30”

43位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +11’23”

51位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +14’19”

83位 菅野蒼羅(宇都宮ブリッツェン)+24’32”

 

 

▼第4ステージ終了後のポイント賞総合リザルト

1位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)40p

2位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 36p

3位 アンドレア・ダマト(JCL TEAM UKYO) 33p

 

※全リザルトは下記URLをご参照ください。

https://www.toj.co.jp/2025/file_upload/100515/_main/100515_01.pdf