ニュース:レース

2025/05/20 レース

【レポート】Tour of Japan 2025 第3ステージ 【いなべ】UCIアジアツアー2.1

【レポート】Tour of Japan 2025 第3ステージ 【いなべ】UCIアジアツアー2.1

 

▼開催日

2025年5月20日(火)

 

▼スタート

阿下喜駅前(三重県いなべ市北勢町阿下喜)

 

▼フィニッシュ

いなべ市梅林公園(三重県いなべ市藤原町鼎717)

 

▼出場選手

谷 順成

沢田 時

岡 篤志

ルーベン・アコスタ

武山晃輔

菅野蒼羅

 

▼競技概要

阿下喜駅前→下野尻交差点→いなべ市梅林公園周回コース パレード3.1㎞/8.6㎞+14.8㎞ ✕8周 総距離103.6km

出走:93名

スタート時間:9:30

▼レースレポート

 

ツアー・オブ・ジャパン3日目は、三重県でおこなわれる「いなべ」ステージ。コースはアップダウンを繰り返し、コントロールライン直後に出てくる通称「イナベルグ」が鬼門と言われる。細い急勾配の厳しさもさることながら、そこへ入るまでの位置取り合戦も熾烈な戦いとなる。今回27回目を数えるツアー・オブ・ジャパンだが、2015年から採用され、8回目となるいなべステージは、過去最も厳しいレースとなってしまった。

 

<レース前の岡のコメント>

「リーダージャージを着用して走ることは非常に嬉しく思うが、やはりリーダーチームとしての仕事も要求されてしまうので、難しいステージになるかと思う。昨日は集団の中で走れたので、それほど疲労はない。ただ蓄積していく疲れもあると思うので、しっかりマネージメントしながらステージレースを走っていきたい。今日は個人的には得意なコース。レースは展開がどうなっていくかによるので、まずはチームとして集団をまとめながら、他のチームとも協力して展開できたらいい」

 

個人総合1位の岡を擁する宇都宮ブリッツェンは、今日も6人全員でスタートラインに立った。チームは集団内でリーダーシップを取らなけれなばならない立場で、やることが多い1日であることは覚悟はできていたが、今日は「レースそのものが過去一番厳しい」ものになってしまったのだ。

まずは逃げの多さ。アクチュアルスタートから逃げの打ち合いが始まり、集団は常に縦長に。チームとしては岡を安全な位置で走らせるのも仕事だが、危険な逃げはチェックにいかなければならない。1周回目を終える頃にできた13名の逃げには谷がジョイン。それが捕まると2周回目に設定された山岳ポイントに向けての動きがあり、2名先行したので、念のため集団の先頭を沢田が取って山岳ポイント1点を獲得。

特に集団を驚かせたのが3周回目の逃げだ。ルージャイ インシュアランスの2名が逃げたところへニコロ・ガリッボ選手(JCL TEAM UKYO)が追いつき、その後ろにパラパラと追走が続いて集団が一瞬ひとつになりかけたが、踏みやめなかったディラン・ホプキンス選手(ルージャイ インシュアランス)、ヨハネス・アダミエツ選手(レンベ・ラド・ネット)、マティアス・ブレンホイ選手(トレンガヌ サイクリング チーム)、 アレッサンドロ・ファンチェル選手(JCL TEAM UKYO)が逃げを作り、これを危険と判断した岡が、自らの脚を使って追走し、合流した。と言うのも、ファンチェル選手は総合4位で岡と12秒差で、以下総合順位と岡との差を並べると、ホプキンス選手7位13秒差、ブレンホイ選手9位14秒差、ガリッポ選手22位17秒差、アダミエツ選手39位24秒差…と、岡の総合順位を脅かす面々ばかり。岡自身が行かなければならない状況を瞬時に判断しての追走であった。

全8周回のうち、3周回目にして総合上位陣の逃げが決まり、集団は混沌とする。リーダーチームである宇都宮ブリッツェンは引く必要がなくなり、格上チームで今回一強と言われたソリューションテック ヴィーニファンティーニは、昨日の落車でリーダーを失い、その落車のケアで多くの選手にタイム差がついてしまったので、もはや集団をコントロールする立場を強いられることはない。ここ3年昨年総合優勝を遂げているJCL TEAM UKYOは逃げに2人も送り込んでいるため、当然集団を牽引することはない等々、このままこの逃げが決まってしまうかのような空気さえ流れた。

しかしこれに待ったをかけたのがネイサン・アール選手だ。2022、23年の総合優勝者で、彼が現在所属するキナンレーシングチームは、今日のこのステージのホストチームでもある。4周回目に逃げと集団の差が縮まったところで、アール選手が追走を仕掛け、それに後ろが続くことで岡を含む6名は捕まってしまった。

こうなると振り出しに戻り、またアタック合戦が始まる。今度は5周目に入ってすぐのイナベルグでナホム・ゼライ・アラヤ選手(JCL TEAM UKYO)が独走を決める。この逃げにも追走が生まれ、6周回目にも5名の追走が合流しかけたが、叶わず。この5名には谷が入った。

気温は29度にもなり、常にアタックを繰り返す消耗戦で、スタート時に93名がいた集団はすでに50名弱となっていた。そんな厳しい状況の中で、岡がメカトラでストップ。幸い自分で直せるトラブルでチームカーを待つ必要はなかったが、緑色のジャージの横で共に止まったのはアコスタだった。すぐに走り出すも、はるか先を行く集団に追いつこうと、アコスタが献身的に前を引く。のちに岡は「今日は何度も助けられて感謝したい」と語った。

レースは結局2名の逃げが決まり、ファンチェル選手が優勝。追走はわずか30名ほどとなり、宇都宮ブリッツェンは岡とアコスタが残った。ほかのメンバーも遅れはしたものの、制限時間内にゴールし、明日も6名で出走できる予定だ。

岡はリーダージャージを失ったが、「明日からは自由に走れるので、気持ち的には少し楽」と言う。ポイント賞ジャージは、ファンチェル選手が優勝したことと、中間スプリントを2回ともトップ通過したことで彼が取ったが、岡は4ポイント差で2位のため、明日はファンチェル選手がリーダージャージを着用し、岡は青いポイント賞ジャージで走ることになるであろう。

ソリューションテック ヴィーニファンティーニの一人勝ちになるかと思われた今年のツアー・オブ・ジャパンだが、先述の通りターゲットを失ってしまい、思ったような動きがない中、今日はJCL TEAM UKYOが逃げに乗りまくり、存在感と強さを示した。チームとしては4連覇がかかるため、今後も台風の目となることは間違いない。宇都宮ブリッツェンはリーダーこそ失ったが、逆に身軽にステージ優勝や最終的な表彰台も狙っていけるようになった。明日は平地基調のコースプロフィール。スプリントステージになると予想される。

【レース後の岡のコメント】

今日はリーダーチームとして迎えるステージだったが、非常にハードな展開となった。危険な逃げに対してレースをコントロールしきるのは難しいと判断して、1度、自ら逃げに飛び乗る賭けに出た。タイム差も開き、強力なメンバーだったのでチャレンジしたのだが、結果的に捕まってしまい、その後、かなり脚が厳しい場面があり、メカトラで遅れてしまったりもした。最後はルーベン選手に何度も助けてもらって集団内でゴールすることができた。今日もチームメイトに感謝したい。リーダージャージは失ったが、明日からは自由に走れるので、気持ち的には少し楽かなと思う。今後もステージ優勝に向けて毎ステージチャレンジしていきたい。

▼第3ステージリザルト

1位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)2h59’32”

2位 マティアス・ブレンホイ(トレンガヌ サイクリング チーム) +0’04”

3位 ニコロ・ガリッボ(JCL TEAM UKYO) +00’22”

 

12位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +00’29”

28位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +00’29”

37位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +5’21”

43位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +5’58”

45位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン)+8’08”

81位 菅野蒼羅(宇都宮ブリッツェン)+11’51”

 

 

▼第3ステージ終了後の個人総合リザルト

1位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)5h41’09”

2位 マティアス・ブレンホイ(トレンガヌ サイクリング チーム) +0’16”

3位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +0’33”

 

27位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +1’02”

42位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +9’30”

43位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +11’23”

53位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン)+14’19”

79位 菅野蒼羅(宇都宮ブリッツェン)+21’17”

 

 

▼第3ステージ終了後のポイント賞総合リザルト

1位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)40p

2位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 36p

3位 アンドレア・ダマト(JCL TEAM UKYO) 26p

 

 

※全リザルトは下記URLをご参照ください。

https://toj.co.jp/2025/upfile/result_pdf/time3.pdf