【レポート】Tour of Japan 2025 第6ステージ 【富士山】UCIアジアツアー2.1
▼開催日
2025年5月23日(金)
▼スタート
富士スピードウェイ西ゲート(静岡県駿東郡小山町大御神)
▼フィニッシュ
富士山須走口五合目(静岡県駿東郡小山町須走)
▼出場選手
谷 順成
沢田 時
岡 篤志
ルーベン・アコスタ
武山晃輔
菅野蒼羅
▼競技概要
富士スピードウェイ西ゲート→東京五輪タイムトライアルコース→須走本町交差点→ふじあざみライン→富士山須走口五合目 パレード3.7㎞/7.8㎞ + 11.5km×3周+7.6km+16.7km 総距離66.6㎞
出走:85名
スタート時間:10:30
▼レースレポート
8日間にわたって行なわれるツアー・オブ・ジャパンは第6ステージ、総合順位のシャッフルさえ起こり得る富士山ステージへと突入した。厳しい山岳コースが選手たちを容赦なく切り捨てていく。
宇都宮ブリッツェンは6名全員が残っているが、昨日の信州飯田ステージで岡が体調不良に陥り大ブレーキ。総合争いから外れることになってしまった。しかし、いろんな戦い方ができるのがステージレースで、例えば山岳賞をチームとして狙うなら、極端な話だが山岳ステージだけを頑張ればいいし、チーム総合優勝を狙うなら3名を上位に送る走り方をする。そこで、宇都宮ブリッツェンが今日のターゲットにすべきなのはポイント賞だ。
第5ステージ終了時点でのポイント賞総合順位は次の通り。
1位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)48p
2位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 36p
3位 シモーネ・ラッカーニ(JCL TEAM UKYO) 34p
今日のステージはあざみラインの登坂区間がクローズアップされがちだし、選手もそこに向けて脚を温存しておきたい考えだが、実はあざみラインに入る前に平坦基調の周回コースがあり、そこに中間スプリントポイントが2回設定されている。フィニッシュは今日はポイント賞に加算されないので、その2回の中間スプリントをすべてトップ通過すれば5ポイント×2回の合計10ポイントを獲得し、1位のファンチェル選手に2ポイント差まで迫れる。それにはもちろん、ファンチェル選手がその中間スプリントを1度も取らないという条件付きの皮算用ではあるが、チームとして狙うべきはそこしかない。まずは逃げを作ってできるだけイージーに、かつ、確実にポイントを取りたい。
<レース前の武山のコメント>
「岡選手が総合で遅れてしまい、総合順位よりもポイント賞と今後のステージ優勝がチームの目標になる。今日はこれまでのステージと比べると無理なくいきたい。あくまで次への繋のステージになるかと思う。ただ、あまりゆっくり走りすぎても疲れてしまうし、中間スプリントポイントに向けたアシストもあるので、仕事をしっかりこなして、ダメージになりすぎない範囲であざみラインを上っていきたい」
岡の意気込みはスタートラインにすでに現れていた。可能な限り前方に位置取り、その周囲を固めるチームメイト。そしてスタートが切られ、ニュートラル区間走行中は最前列にスッと出てきて、審判車の真後ろの列で正式スタートの旗が振られるのを待つ。もちろん、今日のファーストアタックは岡だった。
ただ、事前のミーティングでは谷も一緒に逃げに乗る予定であったが、岡単独で行くことに。ひとりになっても岡はペダルに込める脚を緩めない。数名がこれに乗るが、やがてそれは捕まってしまう。次は谷が先行して逃げ、そこに岡が合流して作戦通りの逃げができた。しかしこれもほどなくキャッチされる。ただ今日はここで攻撃を止める岡ではない。メトケル・イヨブ(トレンガヌ サイクリング チーム)が単独逃げを打ち、かなり先行したが、岡は他2名と共に合流。谷を入れることはできなかったものの、最終的には5名の逃げが決まった。逃げの5名と総合順位、トップとのタイム差は以下の通り。
岡篤志(宇都宮ブリッツェン)29位 +8’25”
メトケル・イヨブ(トレンガヌ サイクリング チーム)51位 +21’13”
レオン・ピカー(チームブッファーズ・ジェスチョン ド パトリモワンヌ)58位 +22’47”
ホセ・ビセンテ・トリビオ・アルコレア(マトリックスパワータグ)66位 +27’02”
ヴァウター・トゥーサン( ワンティ・NIPPO・リユーズ)80位 +32’59”
良いメンバーだ。総合を脅かす選手がいなければ、リーダーチームが逃げを容認するし、例えばここにJCL TEAM UKYOの選手が入っていたら、その選手がポイント賞とは関係なくても岡の1位5ポイントを阻止してくる。そういう意味で良いメンバーと言える。
岡は積極的に逃げを引いた。岡の長引きで集団との差が1分、1分20秒、2分05秒と開いていき、1回目の中間スプリントポイントは全く争うことなく、先頭で引いていた岡がそのまま1位通過する形で5ポイントを取ることができた。この逃げは利害関係がはっきりしており、ポイント賞を狙う選手は他におらず、なるべく長く逃げるために岡が長引きで協力するなら、ポイント賞を岡に譲るというWin-Winの関係ができていた。お陰で2回目の中間スプリントも難なく1位通過することができた。
岡は特に集団内での礼節を重んじる選手だ。ただ勝てばいいという訳ではない。お互いのリスペクトの上に勝負があるべきで、岡は中間スプリントポイントを取り終えたあとも、逃げの牽引を続けた。
しかしこの逃げも、上りが始まると1人、また1人と遅れていき、岡も後ろに戻った。
レースは残り5kmあたりから本格的なステージ優勝争いが始まり、最終的にはJCL TEAM UKYOのナホム・ゼライ・アラヤ選手とアレッサンドロ・ファンチェル選手が先行し、アラヤ選手がステージ優勝、ファンチェル選手が総合リーダーに返り咲いた。
明日の相模原は、2022年に岡が優勝を遂げたステージ。ポイントジャージを狙うには、中間スプリントとフィニッシュで確実にポイントを積み重ねて、ライバルのファンチェル選手との差を広げることがカギになります。東京で表彰台に立つためにも、明日は総力戦。相模原で勢いをつけて、最高の形で最終ステージにつなげる。
【レース後の鈴木監督のコメント】
スタート前から目標としていた中間スプリントポイントを2回、1位通過して、しっかり明日に繋げることができた。最終的にはポイント賞を獲得したいので、一歩前進できたと思う。逃げが決まったと思っても、なかなか容認されず、そんな中でもチームでアシストしながら、なんとか逃げることができた。明日はまずステージ優勝。そしてポイント賞が取れる位置にいるので、両方をどうやって取るか、今夜のミーティングで煮詰めて、明日は最低限どちらかはしっかり取れるようにしたいと思う。
【レース後の岡選手のコメント】
昨日遅れてしまって、自分に残されたチャンスはポイント賞獲得。今日の富士山ステージはフィニッシュで勝負するのは難しかったので、序盤の中間スプリントポイントをフィニッシュだと思って走った。その中でしっかりポイントが取れて良かった。チームメイトとセットで行けたらということで、谷選手と一緒に抜け出す場面もあり、かなり全力で踏んで決まりかけたが、それも捕まってしまって、本当に苦しかったが意地で決めたという感じだった。最後は自分がひとりで乗った形になったが、みんなのお陰で逃げに乗れて良かった。ポイント賞は、今、トップと2ポイント差ということで、ステージの着順の差でも順位が変動するところではある。明日の相模原ステージは優勝した経験もあるので、しっかりステージ優勝を狙っていきたい。
▼第6ステージリザルト
1位 ナホム・ゼライ・アラヤ(JCL TEAM UKYO)2h09’48”
2位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO) +0’06”
3位 ベンジャミン・ダイボール(ヴォクトワール広島) +0’23”
41位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +11’50”
43位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +12’24”
45位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +14’09”
46位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +14’43”
56位 菅野蒼羅(宇都宮ブリッツェン)+19’12”
61位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +20’25”
▼第6ステージ終了後の個人総合リザルト
1位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)14h07’42”
2位 シモーネ・ラッカーニ(JCL TEAM UKYO) +0’21”
3位 ベンジャミン・ダイボール(ヴォクトワール広島) +1’13”
29位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +18’31”
30位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +20’34”
40位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +29’18”
47位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +33’43”
57位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +40’23”
71位 菅野蒼羅(宇都宮ブリッツェン)+51’21”
▼第6ステージ終了後のポイント賞総合リザルト
1位 アレッサンドロ・ファンチェル(JCL TEAM UKYO)48p
2位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 46p
3位 シモーネ・ラッカーニ(JCL TEAM UKYO) 34p
※全リザルトは下記URLをご参照ください。
https://www.toj.co.jp/2025/file_upload/100531/_main/100531_01.pdf
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