【レポート】OITA サイクルフェス!!! 2025 おおいたアーバンクラシッククリテリウム(UCI-クリテリウム)
▼開催日
2025年10月4日(土)
▼スタート&フィニッシュ
大分いこいの道(大分市金池南1-5-1地先)
▼出場選手
谷 順成
フォン・チュンカイ
沢田 時
岡 篤志
ルーベン・アコスタ
武山晃輔
▼競技概要
大分いこいの道周辺特設コース 1.2km × 35周回=総距離42㎞
出走:97名
スタート時間:13:00
▼レースレポート
大分の市街地で開催される自転車競技の祭典「OITAサイクルフェス!!! 2025」の初日、大分駅前で「おおいたアーバンクラシッククリテリウム」が開催された。UCI-クリテリウムにカテゴライズされる国際レースだ。大分駅から伸びる「大分いこいの道」にておこなわれるため、多くの市民の方に楽しんでいただけるレースであるが、今年は駅前ロータリーもコースに入り、1周が昨年より200m伸びて1.2kmに。さらに多くの方にレースを見てもらえる環境下で、35周する総距離42kmのクリテリウムとなった。180度ターンや、左右とカーブする複合コーナーもあり、勝負に絡み、かつ安全に走るためには、そのコーナリングテクニックも問われる。
宇都宮ブリッツェンからは谷順成、沢田時、岡篤志、フォン・チュンカイ、ルーベン・アコスタ、武山晃輔の6名が出場した。岡は昨年この大会で3位に入った。
<レース前の岡のコメント>
「引き続きいいコンディションを維持しているので、今日はなんとしても優勝を狙いたい。昨年とコースが変わり、ストレートが伸びて、コーナーがタイトになった。走ってみないとわからないが、何かしらに影響があると思う。いずれにしても得意なコースには変わりない。クリテリウムなので普通にいけば集団スプリントになると思う。自分としては、楽な展開になるよりは厳しい展開に持っていったほうが、チャンスがあると思っている。積極的なレースにしていきたい。このレースは昨年3位に入り、2017年に、まだJプロツアーだった時代だが小野寺玲選手が優勝して、自分が2位に入り、ブリッツェンでワンツーを決めたことがある。いいイメージを持っているレース。頑張りたい」
前日の雨で天気が心配されたが、今日は晴天に恵まれ蒸し暑いほどに。35周回中、レースが動いたのは残り23周回。徐々に先頭集団が形成され、残り22周回目には7名の逃げ集団ができた。そこに宇都宮ブリッツェンからは岡が入る。他のメンバーも実力者揃いで、エリオット・シュルツ選手、ベンジャミン・ダイボール選手(以上ヴィクトワール広島)、本多晴飛選手(VC FUKUOKA)、エウヘニオ・サンチェス・ロペス選手(VICTORIA SPORTS PRO CYCLING)、マックス・キャンベル選手(CCACHE X BODYWRAP)、レイン・タラマエ選手(KINAN RACING TEAM)というメンバー。ヴィクトワール広島が2名入ってる点と、ツール・ド・フランスなど世界の舞台で活躍してきたタラマエ選手が入っている点に注意したいところ。
残り19周回目には追走集団ができ、そこには武山が入る。今季のレースは、こうした重要な動きにはチームの誰かが入っていのが、今年の強さの象徴だ。追走は協調が取れず先頭に追いつけなかったが、ディラン・ホプキンス選手(ROOJAI INSURANCE)のみが前に合流して、先頭は8名となった。
メイン集団はかなり落ち着き、残り13周回目には前と1分近くの差がついて、8名の逃げ切りが濃厚となってきた。逃げ集団も自分たちだけでレースが決まりそうなことを察し、残り9周回あたりから協調が乱れ、アタックを仕掛ける選手が出てきた。岡は常に3番手あたりをキープし、冷静に動きを見る。特に2名いるヴィクトワール広島は波状攻撃を仕掛けてくる。そんな中、先週のルアンダでの世界選手権を走ってから来日したばかりのタラマエ選手がアタック。これには岡も反応。残り8周回、7周回を岡とタラマエ選手の2人で先行し、6周回目に入る。後ろの6名は単独で追走して脚を使ったり、エナジー切れで遅れ始めたりがあって、2名の先行が決まりかけたそのとき、岡とタラマエ選手にスローダウンの指示が審判より入る。「マイナースプリント」というルールが適用されたためだった。これは極めてめずらしいルール適用であったが、要するに今回、集団が落ち着きすぎてしまい、岡たち8名が集団に追いつきそうになり、一度8名の逃げを止めて、集団のみで3周回のレースをして9位以降の順位決定レースをし、それを終えた集団がコース外に出てから、改めて8名のみで6周回のレースをするということに。タラマエ選手と2人で抜け出せそうな展開でのレース中断で、岡も審判に説明を求める動きをしたが、そこはルール。集団がレースをしている間も、8名は流しながら周回を走っていたため、8名は完全に回復し、6周だけのレースとしてリスタートとなってしまった。
8名だけの決戦レースが再開すると、それまでのレースとはまったく違うレースとなる。集団が追いつく恐れがないので、8名は最後のスプリントに向けて最初から牽制が始まる。お互いが様子をうかがい、落ち着きがない。ただ、スプリントが苦手な選手も多かったので、徐々にアタック合戦が始まる。特に2名いるヴィクトワール広島は再び波状攻撃をしかけ、岡は常にそれに反応。残り5周でシュルツ選手が行き、残り4周でダイボール選手が行き、残り3周で再びダイボール選手が行くという状況であったが、岡はひどく離されないうちに反応して、自らアタックを追った。特に残り3周回目のダイボール選手とのランデブーは、あと少しで決まりかけたが、最終周回に入る直前に捕まり、結局8名でのスプリント勝負に。
そして最終周。最終コーナーのある残り300mでダイボール選手がアタック。スプリント力に欠けるダイボール選手が逃げ切りたいのは明確で、岡はすぐに反応。そして残り200mには自らスプリントを仕掛け、ダイボール選手を交わして独走体制に。実況解説にも「100点満点」と言わしめるほど、自分ですべて捌いて、仕掛けて、勝利して、完璧な優勝を遂げた。岡は「8名の中で自分が一番スプリント力があるのがわかっていたので、早めに仕掛けてみたらうまく決まった」とレース後に語った。途中マイナースプリントルールの適用で、状況的には岡に不利に働くルールかと懸念もあったが、当の本人は「どっちにしても自分にチャンスがある」と思っていたよう。残り22周回目でこのメンバーの逃げを決めたときから、岡の優勝は約束されていたのかもしれない。岡はスプリント賞とアジア最優秀選手賞も獲得し、表彰台を何度もにぎわせた。
明日も引き続き大分で国際ロードレースが開催される。宇都宮ブリッツェンの快進撃を期待したい。
【レース後の岡のコメント】
自分は集団スプリントに備えようとは思っていたが、かなり落車などもあって集団が伸びた展開に。その中でいい逃げの動きがあり、そこにうまく乗ることができたと思う。マイナースプリントが適用されたときは、脚を使いながらもタラマエ選手と抜け出せ、有利な展開に持ち込めていたので、ニュートラルが入り、少し複雑な心境ではあった。しかし冷静に、集団スプリントでも自信があったので、自分の勝ちパターンに持ち込めてよかった。今回は妻も大分までわざわざ応援に来てくれていたので、いい走りをしたいと思っていた。優勝ができて良かった。チームとしての本番は明日のロードレース。チームはみんな強いので、チーム一丸となって優勝を狙いたい。
▼リザルト
1位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 1h08’53”
2位 エリオット・シュルツ(ヴィクトワール広島)+0’00”
3位 本多晴飛(VC FUKUOKA) +0’00”
17位 フォン・チュンカイ(宇都宮ブリッツェン) -3Laps
18位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) -3Laps
21位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) -3Laps
54位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) -3Laps
DNF ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +0’04”
▼スプリント賞(20周回目)
岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
▼アジア最優秀選手賞
岡篤志(宇都宮ブリッツェン)
※全リザルトは下記URLをご参照ください。
https://www.oita-cyclefes.com/pdf/communique7result_cr.pdf
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