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2025/09/15 レース

【レポート】Jプロツアー第10戦 南魚沼ロードレース JBCF第59 回 経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ

【レポート】Jプロツアー第10戦 JBCF 南魚沼ロードレース

 

▼開催日

2025年9月15日(月・祝)

 

▼スタート&フィニッシュ

新潟県南魚沼市三国川ダム周回特設コース

 

▼出場選手

谷 順成

沢田 時

岡 篤志

ルーベン・アコスタ

武山晃輔

花田聖誠

菅野蒼羅

阿蘓来夢

 

▼競技概要

三国川ダム周回コース 12km×12周 総距離144km

出走:115名

スタート時間:12:20

▼レースレポート

 

今季後半戦のJプロツアー2戦目となる南魚沼ロードレースが開催された。三国川ダムの周囲1周12kmを12周する全144kmの長距離レース。標高差140mの急坂やテクニカルなコーナーのあるダイナミックなコースで、来年の全日本選手権の開催地となることが先日発表された。

 

このレースには、2つの重要ポイントがある。まずはJプロツアーポイントランキングのレイティングが「プラチナ」である点だ。最も高いカテゴリーで、1位には800ポイント、2位には640ポイントが付与され、1位と2位のポイント差が160ポイントと大きい。現在ポイントランキング1位の金子宗平選手(群馬グリフィンレーシングチーム)は1876ポイント、宇都宮ブリッツェンの岡篤志が2位1553ポイントで、その差323ポイント。仮に岡が優勝し、金子選手が2位に入れば逆転はできないが、金子選手が4位となればその獲得ポイントが440なので、一気に逆転が可能だ。つまり着順によるポイント差が大きいレースのため、金子選手より少しでも前にフィニッシュしたい。そもそも、3連覇中の金子選手を止めたいところだ。また、現在チームランキング1位の宇都宮ブリッツェンは、ここで年間チャンピオンを確固たるものにしたい。

 

2つ目の重要ポイントは、チーム対抗の「経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」も兼ねていることだ。各チーム上位3名の順位数を合計し、最小だったチームが優勝、経済産業大臣旗が授与される。通称「輪翔旗」と呼ばれる真っ赤な旗を、宇都宮に持ち帰りたい。このレースは輪翔旗を獲ることを、最重要目標とした。

 

宇都宮ブリッツェンはルーベン・アコスタが5日前にコロンビアから戻り、6月8日の石川ロード以来の合流。フォン・チュンカイは台湾ナショナルチームとして中国のTour of Poyang Lake(全11ステージ)に出場のためこちらは欠場。アコスタ以外は谷順成、岡篤志、花田聖誠、武山晃輔、沢田時のレギュラーメンバーに加え、若手の菅野蒼羅、阿蘓来夢が挑んだ。菅野も阿蘓も集団牽引役などで大きな力となっている。こういう重要なレースで経験を積んで、チームの未来のエースとなっていってほしい。

 

<レース前の谷のコメント>

「先週、後半戦スタートのレースであった新城ロードを走り、チームとしても前方で戦えていた。このレースは優勝を狙うだけでなく、上位3名の順位で経済産業大臣旗の行方が決まる重要なレースなので、そこも意識しながら走りたい。先日、このコースが来年の全日本選手権のコースになると発表があった。元々、今夏はこのレースを意識してトレーニングを積んできたが、来年の全日本選手権も見据えながら優勝を目指していきたい。チーム総合ランキングも1位を決めることができるかもしれないので、キャプテンとして、自分が決めきるという気持ちで臨み、輪翔旗を宇都宮に持ち帰りたい」

 

レースは12時20分スタート。宇都宮からレース会場までは2時間半で着けるため、宇都宮ブリッツェンは当日移動を選んだ。前日に南魚沼クリテリウムも開催されたが、チームはそれをパスしてロードレースの方に集中し、勝利を狙う。

 

スタート地点にはランキング上位の選手がコールされた。2位の岡はもちろん、6位の沢田、10位のアコスタも最前列に並び、チームランキング1位として他のメンバーも前に。宇都宮ブリッツェンは全員が先頭でスタートすることができた。

 

スタートからすぐに上りが始まるが、集団は落ち着いて進む。朝降っていた雨は上がり、多少ウエットな箇所も残っていたが、スタート2分後に降った通り雨も落ち着き、ほぼドライな状態でレースができた。厚く覆った雲も去り、徐々に気温が上がっていく。

レースのキーポイントとなったのが4周回目。2周回目で単独逃げを決めていた河野翔輝選手(チームブリヂストンサイクリング)が捕まった直後にアタック合戦が始まり、集団がバラバラに。その間に決まった7名の逃げに、宇都宮ブリッツェンからは谷が入る。他の顔ぶれは山田拓海選手(シマノレーシング)、織田聖選手、アレクサンドロス・アグロティス選手(以上マトリックスパワータグ)、孫崎大樹選手(ヴィクトワール広島)、宮崎泰史選手(KINAN Racing Team)、島野翔太選手(イナーメ信濃山形)。集団はこれを容認し、7周回目には3分35秒差がつく。

 

集団の先頭は、逃げにメンバーを入れられなかったチームブリヂストンサイクリングが牽引し、宇都宮ブリッツェンはそのすぐ後ろで次の動きに備える。谷のお陰で岡や沢田、アコスタなどは脚を溜められるベストな状況だ。

 

周回を重ねるにつれて逃げと集団の差は徐々に詰まっていき、逃げの人数も5名に減ったが、谷はしっかり前に残る。10周回目で集団は21名となり、そこから数名の追走が出るなど、集団の動きが活性化していく。

 

11周回目には逃げから宮崎選手が上りでアタック。谷がそれに反応し、再び1つとなるが、アグロティス選手が遅れて逃げは4名に。集団との差は42秒と、とうとう1分を切った。それを見計らったかのように集団から4名が飛び出し、それにブリッジする選手がいて追走が8名に。そこに宇都宮ブリッツェンからは武山とアコスタが乗る。

 

12周回目で再び宮崎選手が単独アタック。それが決まった頃、追走8名が追いついて勝負は1対11の構図に。しかしほどなくして後ろの11名からもドロップがあり、宮崎選手と8名の戦いとなって、宇都宮ブリッツェンはこの8名にアコスタ、武山、谷という最大人数の3名を入れた。このままいけば輪翔旗は取れる戦況となった。

 

逃げていた宮崎選手は残り4kmあたりで捕まるが、それを捕まえたのがアコスタだった。アコスタが力強く宮崎選手をパスすると、それについてきたのは 林原聖真選手(群馬グリフィンレーシングチーム)のみ。5日前にコロンビアから合流したアコスタにとって、このときコロンビアは夜中の1時頃。来日して早々、この動きは頼もしい。先頭はアコスタと林原選手の2名のみとなり、フィニッシュまで150mの上りで、先行するアコスタをまくる形で林原選手がアタック。アコスタもすぐに反応したが、脚がつってしまいつききれず2位。勝利は逃したが、武山が4位、谷が5位に入り、狙っていた輪翔旗を手にすることとなった。

 

岡はJプロツアーランキングでライバルの金子選手の徹底的なマークに合い、8名からは遅れて13位となったが、そのお陰で自由になったアコスタと武山は、谷に合流することができたとも言える。武山は少し遅れるシーンもあったが、8名の中にヴィクトワール広島からは孫崎選手とダイボール選手の2名がいたため、最低限、ダイボール選手より前で入らなければと奮起したそうで、コース途中の鈴木真理監督からの声掛けもあり、4位というリザルトも収め、ダイボール選手を6位に後退させることに成功した。フィニッシュ後に谷は言う。「岡選手が前に来られなくても他の選手で戦えたというのは、チームとしてもかなり大きかったのではないかと思う」

 

最後の表彰台は出場メンバー全員で上がり、輪翔旗を受け取った。真っ赤な輪翔旗が宇都宮へやってくるのを、楽しみに待っていていただきたい。

レース後の谷のコメント】

スタート前に話したように、今日はこの団体優勝を取りたいということで、なんとかチームに貢献したく走った。輪翔旗を受け取り、こうして金メダルを掛けてもらって、正直ホッとしている。自分の勝利にもこだわっていたので、自分の勝利のためには逃げの展開で勝つことをイメージしていた。逃げに入ってからは、自分が勝つことを意識していた。後ろはブリヂストンが牽引していて振り出しに戻ったが、そこからは自分の勝利だけでなく、チームの総合も考えながら走った。今季は岡選手に頼ることが多かったが、上位にアコスタ選手、武山選手、自分の3人が入った。岡選手は個人総合ランキングを争う金子選手と牽制になっていたので、岡選手が前に来られなくても他の選手で戦えたというのは、チームとしてもかなり大きかったのではないかと思う。

レース後のルーベンのコメント】

今日は暑くて、コースもアップダウンが多くてハードだった。再来日して最初のレースだったが、コンディションは良かった。2人の逃げになったときは優勝できると思っていたが、最後、脚がつってしまい、ちょっと難しいかもしれないと思うようになった。次のおおいたアーバンクラシックロードレースは昨年3位になっており、今から楽しみで、やる気に溢れている。今年は勝利したい。

レース後の鈴木監督のコメント】

チームの最重要目標はチーム総合優勝をして、輪翔旗を宇都宮に持って帰ることだった。これは達成できて良かった。2つ目の目標であるレースでの勝利は、最後詰めきれず、2位になってしまった。でも全体としてはいいレースになった。今年1月、チームの立て直しというところでスタートしたが、おそらく今日、Jプロツアーチームランキング1位を確定できたと思う。エースの岡選手に頼るだけでなく、チームの底上げというところを1年通してやってきている。各自の力が確実にアップして、チーム力がついてきたことを、チームランキングで示すことができたのではないか。残り2か月大事なレースが続くので、引き続きご声援をお願いしたい。

▼リザルト

 

1位 林原聖真(群馬グリフィンレーシングチーム) 2h18’44”

2位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +0’02”

3位 孫崎大樹(ヴィクトワール広島) +0’07”

 

4位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +0’09”

5位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +0’11”

13位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +2’06”

15位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +2’14”

49位 花田聖誠(宇都宮ブリッツェン) +10’33”

52位 菅野蒼羅(宇都宮ブリッツェン) +12’14”

DNF 阿蘓来夢(宇都宮ブリッツェン)

 

▼経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ(輪翔旗)リザルト

1位 宇都宮ブリッツェン

2位 ヴィクトワール広島

3位 KINAN Racing Team

 

※全リザルトは下記URLをご参照ください。

Jプロツアー

https://jbcfroad.jp/wp-content/uploads/2025/07/RR_JPT.pdf

 

※輪翔旗団体戦

https://jbcfroad.jp/wp-content/uploads/2025/07/RR_%E5%9B%A3%E4%BD%93%E6%88%A6.pdf