【レポート】TOUR de KUMANO 第2ステージ 古座川清流周回コース(UCIアジアツアー2.2)
▼開催日
2025年5月9日(金)
▼スタート&フィニッシュ
蔵土多目的広場(和歌山県東牟婁郡古座川町蔵土)
▼出場選手
谷 順成
沢田 時
岡 篤志
ルーベン・アコスタ
武山晃輔
▼競技概要
古座川清流周回コース 41.5km + 42.6km × 2周回 総距離126.7km
出走:108名
スタート時間:9:30
▼レースレポート
ツール・ド・熊野第2ステージは、日本最大級の奇石「一枚岩」が有名な古座川清流周回コース。数字の8の字を横から押しつぶしたような形のコースで、まずは8の線が交差する真ん中から北上し、3級山岳のある上りコースを経て、コントロールライン通過後に8の下側へ南下すると、スプリントポイントのある平坦基調のコースへと入る。これを3周回。全体的に細かいアップダウンがある上に、道幅が狭く、集団後方にいると望まないストップ&ゴーを繰り返すことになる。また交差のある周回コースのためタイムアウトの設定が厳しく、集団内の位置取りは熾烈になることが予想された。
宇都宮ブリッツェンからは総合2位につけている岡篤志に加え、谷順成、沢田時、武山晃輔、ルーベン・アコスタが出走した。
<レース前の鈴木監督のコメント>
「チームは非常に良い状態。選手たちも自分たちがやるべきことを理解しているし、チャレンジする場面もしっかり準備できている。総合2位につけている岡を中心にレースを展開する。ただし、前半や中盤の逃げにも注意し、アコスタや谷が逃げに乗ってポイントを取りにいけるように準備している。他の選手にタイムボーナスを取らせないようにするのも重要だからだ。基本的には岡の総合2位をキープすることが大前提。例えば、2人の逃げが決まってそのままゴールしても、岡が総合2位を守れるようであれば、その展開も容認する。明日の上りステージにつなげられるような動きを優先し、その中でステージ優勝も狙っていけるようなら狙う。今日ベストを尽くし、明日につなげたい」
<レース前の岡のコメント>
「疲れもなく、体調はいい。今日はかなりテクニカルなコースで、位置取りが非常に重要になる。気を引き締めて頑張りたい。昨年このステージで2位。上り自体はそれほどきつくないが、コースが狭いので集団の分断が起きやすい。昨年は最後は30人ほどしか前に残らず、その中でのスプリントだった。今年もそのような展開があるのかなと思っている。後ろに取り残されることがないようにしながら、ステージ優勝も狙っていきたい」
1.3kmのパレード走行後、最初に動いたのはJCLチーム右京勢。鎌田晃輝選手が山岳賞トップのため、そのジャージをキープするための動きだ。山岳ポイントは総合タイムに関係するタイムボーナスがないので、宇都宮ブリッツェンとしては集団待機。しかし重要なのは周回の後半に出てくるスプリントポイントだ。通過順位3位まで、上位から3秒、2秒、1秒が総合タイムからマイナスされる。最初の山岳ポイントを超えた下りで、総合順位に絡んできそうな5名の選手が逃げ、それに乗りたい岡が単騎で追うが、ようやく追いついたところで程なく集団もジョインしてしまった。
その後2名の逃げができて2周目に入るが、総合3位につけているベンジャミ・プラデス(VC福岡)が猛追し2名を捕まえる。そこに反応したのは武山だ。しばらく5名で逃げる時間があったが、新城幸也選手(ソリューション・テック・ヴィーニ・ファンティーニ)が集団をひとりで牽引し、武山たち5名を飲み込んだ。そしてまたすぐにプラデス選手が仕掛け、今度は沢田がチェックに入り再び5名の逃げに。集団はすぐ後ろに迫っており、沢田は下がったが、3周目に入るときには残った今村駿介選手(ワンティ・NIPPO・リユーズ)、山本元喜選手(キナンレーシングチーム)、新開隆人選手(ヴェロリアン松山)の3名の逃げになる。
2周目から降り始めた小雨は大粒の雨に変わり、路面を完全に濡らしていた。逃げと集団の差は3周目に入る時点で1分37秒。山岳ポイントからの下りで新開選手が遅れ、8の字の北側部分、つまり山岳地帯を終えたときに集団との差は31秒に。さらに残り15km地点で山本選手がドロップして、とうとう今村選手単独の逃げと集団の戦いとなった。
リーダージャージを擁するソリューション・テック・ヴィーニ・ファンティーニが集団をコントロールする中、宇都宮ブリッツェンも最終局面に備えて集団前方に固まる。そんな集団内が緊迫し始めた状況で、なんと多くの選手を巻き込む大落車が発生。選手によっては自転車ごと崖に落ちている姿も見受けられ、特にヴィクトワール広島の選手たちが多く巻き込まれたようだ。宇都宮ブリッツェンも何名かは完全にストップさせられたが、落車することはなく、全員で集団復帰。そんなアクシデントもあってか、今村選手との差を縮めることに苦しむ集団。雨が激しさを増す中、力強くペダルを踏む今村選手が、逃げ切りステージ優勝を成し遂げた。これには多くの選手が「脱帽」という言葉で今村選手を称賛した。宇都宮ブリッツェンはアコスタが12位、岡が13位だったが、全員がトップとタイム差10秒の集団に入ることができた。
ステージ2位はリーダージャージのドゥシャン・ラヨヴィッチ選手でタイムボーナス6秒を稼ぎ総合も2位に。今村選手はラヨヴィッチ選手から総合で13秒遅れであったが、集団と10秒のタイム差をつけた上に、タイムボーナス10秒がついたので総合トップに躍り出た。やはりこのツール・ド・熊野はタイムボーナスが影響する。岡はタイム差10秒の集団でゴールできたこと、それはラヨヴィッチ選手とタイム差なしであったことが重要で、本人はスプリント勝負に絡めなかったことを悔いていたが、結局は総合3位となり、表彰台圏内に留まることができた。明日は厳しい山岳コースのため、トラックを中心に戦う今村選手の脚質には合わないステージ。岡が今以上のリザルトを得ることに、望みをつなぐ第2ステージとなった。
なお、トップとタイム差10秒の2位集団には34名がいたが、チーム全員をそこに入れたのは宇都宮ブリッツェンだけであった。底力をみせた走りのかいあって、チーム総合順位は2位に。1位は今村選手のワンティ・NIPPO・リユーズだが、差は10秒なのでチーム総合優勝の可能性も出てきた。個人も総合も、明日のクイーンステージの結果にかかる。
【レース後の鈴木監督のコメント】
今日はトリッキーなコースで、大きな落車も発生した。チームとしては誰も巻き込まれずに先頭集団に残れたことは良かった。お陰でタイム差をつけられることなく、明日につなげるレースができた。
【レース後の岡のコメント】
今日は集団スプリントになる予想だったが、飛び出した今村選手が強く、脱帽というところ。最後大きな落車があり、かなり危ない場面もあったが、チーム全員が前に残ることができたので、そこは良かった。最後の集団スプリントは遅れてしまい、勝負に参加できなかったが、望みを明日につなげられたので、明日また頑張りたい。
▼第2ステージリザルト
1位 今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ) 2h55’44”
2位 ドゥシャン・ラヨヴィッチ(ソリューション・テック・ヴィーニ・ファンティーニ)+0’10”
3位 ケイエ・ソーレン(ワンティ・NIPPO・リユーズ)+0’10”
12位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)+0’10”
13位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)+0’10”
18位 谷順成(宇都宮ブリッツェン)+0’10”
24位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン)+0’10”
30位 沢田時(宇都宮ブリッツェン)+0’10”
▼第2ステージ終了後の総合リザルト
1位 今村駿介(ワンティ・NIPPO・リユーズ) 5h51’31”
2位 ドゥシャン・ラヨヴィッチ(ソリューション・テック・ヴィーニ・ファンティーニ)+0’03”
3位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)+0’14”
15位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)+0’22”
23位 沢田時(宇都宮ブリッツェン)+0’22”
24位 谷順成(宇都宮ブリッツェン)+0’22”
29位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン)+0’22
※全リザルトは下記URLをご参照ください。
https://www.tourdekumano.jp/wp/wp-content/uploads/2025/05/Kumano-C05.pdf
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