【レポート】JBCF 2025 Jプロツアー第8戦 山陽建設広島三原ロードレース
▼開催日
2025年7月5日(土)
▼スタート&フィニッシュ
広島県中央森林公園(広島県三原市本郷町上北方1315)
▼出場選手
谷 順成
岡 篤志
沢田 時
武山晃輔
花田聖誠
阿蘓来夢
秋元 碧
▼競技概要
広島県中央森林公園サイクリングコース 12.3㎞ ×10周 総距離123km
出走:112名
スタート時間:12:00
▼レースレポート
全日本選手権ウィークが終わったばかりだが、チームは900kmの長距離ドライブを経て、広島での2連戦に入った。大会のキャッチフレーズに「この夏、ロードレースがバリ熱い」と謳われている通り、とても“熱く”、“暑い”のが広島のレース。チームもいつも以上にボトルを用意するなど、暑さ対策には万全で臨んだ。ただ30度を超える気温の中で12時スタートという最も危険な時間帯であることも考慮され、周回数が13周から10周に減らされた。
宇都宮ブリッツェンは谷順成、沢田時、岡篤志、武山晃輔、花田聖誠、阿蘓来夢、秋元碧のオール日本人選手で出走。谷はヴィクトワール広島に所属していた期間もあるので、広島でのレースは特に思い入れが強い。U19の秋元、U23の阿蘓はこれが2度目のJPTレースだ。
<レース前の谷のコメント>
「2週間前に全日本選手権のロードがあり、先週は全日本選手権の個人TTがあって、疲労はしているがいい状態をキープできているので、今日も優勝を目指していきたい。全日本ロードでエリート男子に出た5名はしっかり連携できて、いい走りができていた。そこに若手の2名が加わり、より活発にチームとして動けるのではないかと思っている。暑いが若手2名の活気ある走りに期待したい。今日はチャンスがあれば誰でも優勝を狙っていこうということになっている。チームランキングの1位を守っていきたいが、2位のヴィクトワール広島は地元レースということで積極的に動いてくると思われる。できるだけ多くの人数を上位に入れ、その中で優勝者を出したい。チームランキングは今日でさらに引き離していきたい。自分も優勝を狙っていきながら、チームでしっかり連携して、枚数を多く残して最後まで戦えるようにしたい」
コースは全日本選手権でも何度も使われた、広島空港横の森林公園だ。テクニカルな高速コーナーが連続し、その名の通り3つの上りが連続する「三段坂」は勝負ポイントとなる。偶然では勝てず、力のある選手だけが走りきれるサバイバルなコースだ。
スタートしてすぐに飛び出したのが地元ヴィクトワール広島の孫崎大樹選手。単独の逃げであったため集団はそれほど積極的に追わなかったが、なかなか捕まらない孫崎選手の粘り強い逃げに追撃を仕掛けたのが、オープン参加の今村駿介選手(Wanty-Nippo-ReUz)と沢田だった。逃げ切れる力を持った強力な3名は、3周目に入るときに集団との差を30秒とし、名物の三段坂に突入。小集団に追いつかれるが、周回賞がかかっていたため、ヴィクトワール広島から今度は久保田悠介選手がアタック。それにも沢田が追走した。今季、沢田がこの動きができることに、チームは大いに助けられている。
宇都宮ブリッツェンの組織的なレースはこのあとも続き、4周回目で4人の逃げに武山が乗る。武山以外のメンバーは風間翔眞選手(シマノレーシング)、宇賀隆貴選手(KINAN Racing Team)、永井健太選手(ヴィクトワール広島)だ。武山がここに乗れたのはとても重要で、後ろにいる選手が脚を休めることができるだけでなく、ヴィクトワール広島の永井選手が次の周回賞(5周回目終了時)を取りたいのは明白だったため、少なくとも2周はこの逃げが続くと予想ができた。この逃げは結局8周目終了直前まで続き、3つ目の周回賞は武山が取った。誤算だったのは6周目に入ってすぐの谷の落車だ。フィードゾーン直後のコントロールラインで集団が交錯し、何か引っ掛けられたと気がついたときには地面に叩きつけられていたという不運な落車だった。ここで谷はレースを降りた。
谷を欠いてしまった宇都宮ブリッツェンだったが、9周目に入って8名、7名、20名…と、集団が3つのグループに分かれた際も、先頭の8名に岡、沢田、武山の3名が入る。いてほしいところにいるのが、今季の宇都宮ブリッツェンだ。
勝負を決したのは最終周の三段坂だ。先頭集団は15名ほどとなり、やはり地元の意地を見せベンジャミン・ダイボール選手(ヴィクトワール広島)が三段坂に入る直前にアタック。それに反応したのが山本元喜選手(KINAN Racing Team)だったが、ダイボール選手が踏みやめたところで1つになり、そのチャンスに単独で飛び出したのが金子宗平選手(群馬グリフィンレーシングチーム)だった。1か月前の石川ロードレースでも独走優勝を飾ったが、ここでも金子選手は後続をぐんぐんと引き離し、それを1人で追ったのが岡だった。岡からずいぶん間が空いてはいたが、後ろにダイボール選手と山本選手という強力な2名。岡は前を必死で追うが、後ろからの追走にも気をつけなければならない状況で、結局、金子選手の背中を捉えることができず、金子選手が優勝。後ろからはダイボール選手がかなり迫っていたが、岡が満身創痍でペダルを回し、なんとか2位を死守した。後続の集団もスプリントで沢田が頭を取って4位、逃げで脚を使った武山も10位に入り、トップ10に全チーム中最大の3名を入れることに成功した。また、阿蘓も53位で完走。112名でスタートしたが、完走できたのは55名だった。
今レースもチーム力を見せた宇都宮ブリッツェン。現在Jプロツアーチームランキング1位を保って、明日の広島クリテリウムに出走する。宇都宮ブリッツェンにとって地元レースだった宇都宮清原クリテリウムで、ヴィクトワール広島の孫崎選手に優勝を持って行かれた今季。「明日はやり返せたらいいと思う」と少し冗談っぽく笑顔で語る岡。雪辱を果たせるよう、明日もチーム力で戦う。
【レース後の岡のコメント】
今日は序盤から沢田選手、武山選手が逃げに何度も乗って、チームとして積極的なレースができた。自分自身も要所々々で動き、積極的に走ることができた。宇都宮ブリッツェンとヴィクトワール広島がチームで激しく駆け引きをしていた中で、個人技で金子選手に行かれてしまったという印象。非常に悔しいところではあるが、トップ10に3人、しっかり入ることができたので、そこはチームとして良かったのではないか。最終周の三段坂に入る前にダイボール選手と山本元喜選手がアタックし、自分も脚を使って追いついたのに、その後ろに金子選手を連れてきてしまった。一気に勾配が上がるところで後ろから行かれてしまい、付き遅れて、単独で金子選手を追う展開に。10mぐらいの差が最後まで埋まらず2位となった。明日の広島クリテリウム、先の宇都宮清原クリテリウムではヴィクトワール広島の孫崎選手にやられてしまったので、明日はやり返せたらいいと思う。明日も頑張りたい。
▼リザルト
1位 金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム) 2h59’00”
2位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +0’13”
3位 ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島) +0’14”
4位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +0’31”
10位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +1’01”
47位 花田聖誠(宇都宮ブリッツェン) +11’48”
53位 阿蘓来夢(宇都宮ブリッツェン) +14’26”
DNF 谷順成(宇都宮ブリッツェン)
DNF 秋元碧(宇都宮ブリッツェン)
※全リザルトは下記URLをご参照ください。(速報値)
https://jbcfroad.jp/wp-content/uploads/2025/04/JPT.pdf
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