【レポート】JBCF Jプロツアー最終戦 群馬CSCロード10月大会
▼開催日
2025年10月25日(土)
▼スタート&フィニッシュ
群馬サイクルスポーツセンター(群馬県利根郡みなかみ町新巻3853)
▼出場選手
谷 順成
フォン・チュンカイ
岡 篤志
ルーベン・アコスタ
武山晃輔
花田聖誠
菅野蒼羅
▼競技概要
群馬サイクルスポーツセンター6km サーキットコース 時計(正)回り 6km× 25周回=総距離150㎞
出走:93名
スタート時間:11:30
▼レースレポート
群馬サイクルスポーツセンターで開催されたJプロツアー最終戦。Astemo宇都宮ブリッツェンはチーム総合優勝は確定させているものの、岡の個人総合ランキングで逆転を狙うことを第一目標に会場入りした。メンバーは谷順成、フォン・チュンカイ、岡篤志、ルーベン・アコスタ、武山晃輔、花田聖誠、菅野蒼羅の7名。沢田時は翌日から宮城にてシクロクロスのレースがあるため、欠場した。
群馬サイクルスポーツセンターのコースは平坦区間が少なく、特に残り2kmあたりにある通称「心臓破りの坂」が厳しく、勝負の決め手となる。しかも今日は霧雨が降り、雲が厚く、気温が10度前後。過酷な気象条件でのレースになることが予想された。
Jプロツアーの個人総合ランキングは、金子宗平選手(群馬グリフィンレーシングチーム)が1位で1971ポイント、2位の岡は1633ポイントでその差338ポイント。このレースのレイティングはGOLDのため、1位の選手に500ポイントが付与される。仮に岡が優勝しても金子選手が6位であれば175ポイントなのでその差325ポイントで逆転には足りない。つまり、金子選手が7位以降になってくれなければ逆転はない。かなり難しい状況ではあるが、可能性はある。
今年Jプロツアーで金子選手が優勝をしたのは3回で、どれも逃げ切り勝利だった。直近の南魚沼ロードでは13位だったものの、岡をぴったりマークした上での順位で、金子選手が個人総合ランキング1位を固めるには充分だった。この最終戦は金子選手の独走を許さず、かつ、マークを振り切ることが絶対条件だ。
<レース前の岡のコメント>
「群馬CSCは自転車のサーキットということで何度もレースが開催されてきた。アップダウンとコーナーが連続するテクニカルなコース。ただ、きつい上りはないのでスプリンターにもチャンスがあるし、逃げ切り、またはクライマーの選手にもチャンスがある、非常に良いコース。直近の4戦では金子選手にクレバーな走りをされたが、金子選手は本当に強くて、正直、力負けしてしまったなというのが、今シーズンはたくさんあった。ただ、この群馬に関しては自分にも分があると思っている。チーム力を発揮していい展開に持っていけたら。自分が優勝しないと個人総合の逆転はかなり難しく、また金子選手の順位に左右されることがある。自分だけが頑張っても、逆転というのは厳しいが、諦めないで最後まで最善を尽くして頑張りたい」
レースは11時30分スタートだったが、スタート前にJプロツアー登録選手の中の引退選手がコールされ、セレモニーがあった。Astemo宇都宮ブリッツェンは、その場にはいなかったものの、小野寺玲選手の名前が呼ばれた。
セレモニー後、3分遅れでレースがスタート。小さな逃げはできるが、どれも決定打にはならず。逃げにはフォンやアコスタが反応する。岡は集団に待機だが、金子選手がピッタリとマークについていた。
6周目になってようやく5名の逃げができ、9周目に2名が合流して7名となった。Astemo宇都宮ブリッツェンからは武山とフォンが入り、ほかの5名は孫崎大樹選手(ヴィクトワール広島)、菅原聡選手(アヴニールサイクリング山梨)小出樹選手、山里一心選手(以上アヴニールサイクリング山梨)、馬場慶三郎選手(弱虫ペダル サイクリングチーム)。集団との差は40秒前後を保ちつつも、集団からブリッジをかける選手が多数あり、レースがまったく落ち着かない。それもようやく11周目になると、Astemo宇都宮ブリッツェンとヴィクトワール広島が集団コントロールを始め、逃げと集団の差は1分10秒あたりとなり、逃げ切りの可能性も見えてきた。
しかしそこに待ったをかけたのが寺田吉騎選手(Bahrain victorious development team)だ。オープン参加ではあったが、終始揺さぶりをかけていた。寺田選手は18周目で集団から飛び出し、武山とフォンのいる7名に30秒差まで迫る。次の19周目には寺田選手はつかまり、前の7名から2名ドロップして5名になるが、武山とフォンはそこに残る。ただ集団が5名に迫ってきており、5名は集団に戻ることを選択。吸収されてほどなくして単独で飛び出したのが、ベンジャミン・ダイボール選手(ヴィクトワール広島)だ。ダイボール選手は集団からあっという間に37秒差をつけ、これを金子選手、岡で追うシーンも見られたが、まだ早すぎると判断し集団に戻り、変わって阿見寺俊哉選手(アヴニールサイクリング山梨)、佐藤光選手(TeamCyclersSNEL)の2名がダイボール選手を追い始めた。この構造はレース残り2周まで続き、ダイボール選手と2名が40秒差、ダイボール選手と集団が1分差…がなかなか詰まらず、ダイボール選手の逃げ切りか…とまで頭をよぎる。
ただ、Astemo宇都宮ブリッツェンは勝機を待っていただけだった。残り2周には集団前を固め、逃げとの差をどんどん詰める。そしてとうとうファイナルラップの心臓破りの坂手前で、岡、金子選手、山田拓海選手(シマノレーシング)がダイボール選手を捕らえ、3名でのスプリント勝負となった。
最後は「この3名でのスプリントでは自信があった」という岡がフィニッシュラインをトップで差し、見事、Jプロシリーズ最終戦で勝利を収めた。岡のスプリントも見事であったが、残り2周からのチーム力は、今年のチームを象徴する素晴らしいものであった。岡も「本当に今日は、チームのみんなのお陰で勝てた。みんなの頑張りのためにも、絶対勝たなければならないと思った」と、チームメイトへの感謝の気持ちを述べた。鈴木監督は「ダイボール選手を捕まえられるかどうか、ギリギリのタイミングだった」と勝負のタイミングに賭けをしたことを明かし、武山選手は「今季は早めに動きすぎて脚だけ使って終わることが多かったので、その失敗を繰り返さないように仕掛けをギリギリまで待った。こんなに気持ちよく走り終えられるレースはなかったので、とてもいい締めくくりのレースになったと思う」と清々しく語った。
Jプロツアー個人総合の逆転は叶わなかったが、チーム総合優勝は収め、何より、今年1年で積み上げてきた「ONE TEAMで戦うレース」をしっかり形にできた1日だった。
ロードレースの年間スケジュールは、ツール・ド・おきなわが残るが、Jプロツアーはこの群馬で終了。1年を通しての応援、感謝申し上げます。
【レース後の岡のコメント】
今日は本当にチームメイトのお陰で勝てた。レースをコントロールし、あそこまでやってもらったのに、勝たないわけにはいかないと思った。最後、山田選手に差されかけたが、3人の中ではスプリントに自信があった。とはいえ、正直言って、この寒さでスタート前は自信がなかった。レース中も調子が上向かず、ずっと集団の中にいさせてもらった。最終戦をこうして優勝で締めくくることができ、チームメイトに本当に感謝したい。
▼リザルト
1位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) 3h45’35”
2位 山田拓海(シマノレーシング) +0’00”
3位 金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム) +0’00”
34位 フォン・チュンカイ(宇都宮ブリッツェン) +2’11”
35位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +3’06”
36位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +3’06”
37位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +3’06”
46位 花田聖誠(宇都宮ブリッツェン) +8’04”
DNF 菅野蒼羅(宇都宮ブリッツェン)
※全リザルトは下記URLをご参照ください。(速報値)
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