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2025/06/22 レース

【レポート】全日本選手権自転車競技大会ロードレース ME

【レポート】全日本選手権自転車競技大会ロードレース ME

 

▼開催日

2025年6月22日(日)

 

▼スタート&フィニッシュ

日本サイクルスポーツセンター(静岡県伊豆市大野1826)

 

▼出場選手

谷 順成

沢田 時

岡 篤志

武山晃輔

花田聖誠

 

 

▼競技概要

日本サイクルスポーツセンター内サーキット 8㎞ ×20周  総距離160km

出走:122名

スタート時間:11:00

▼レースレポート

 

全日本選手権自転車競技大会2日目は、エリート男子が行なわれた。年に一度、選手にとっては一生に一度あるかないかの「日本一」になれるレース。独特の緊張感に包まれる中、宇都宮ブリッツェンは岡篤志をエースに、谷順成、沢田時、武山晃輔、花田聖誠が出場した。最大9名の選手を揃えるチームもあるため、5人は数的不利な面もあるが、5月のツール・ド・熊野で鎖骨骨折をした花田が驚異的な回復力を見せてこの全日本で復帰し、戦力の一助となった。今季はチーム力が明らかに向上している宇都宮ブリッツェン。まだ取れないロードレースの日本チャンピオンジャージを宇都宮に持って帰りたい一心で、このレースに臨んだ。

 

<レース前の鈴木監督のコメント>

「『いよいよ』という感じで、とても緊張している。宇都宮ブリッツェンの監督として初めての全日本選手権。チームに有利な状況を作りながらエースが勝てるようにしていくよう、指示している。目標はずばり優勝しかない」

 

<レース前の岡のコメント>

「いよいよ始まる全日本選手権。身の引き締まる思い。この日のためにしっかり準備してきたので、実力を出せればと思う。風が強いのは想定外だったが、暑さは今のところ思ったほど厳しくない。スタートのお昼にかけて気温が上がると思うので、気をつけたい。宇都宮にチャンピオンジャージを持ち帰るよう、チーム一丸となって頑張る」

 

<レース前の谷のコメント>

「昨年、自分はこの大会DNFで、非常に悔しい思いをして、その思いを忘れずに1年間取り組んできた。今日は昨年の分まで頑張って走りたいと個人的には思っている。今シーズン様々なレースを走って、コンディションが徐々に上がってきている。実は過去最高に調子がいいと感じているので、今日はそれを発揮したい」

 

レースは気温が上がり始めた11時にスタート。風が強く、風速7mが予想されていた。スタート直後から鈴木来人選手(AvenirCyclingYamanashiDevelopment)、川勝敦嗣選手(MiNERVA-asahi)、中司大輔選手(堀場製作所自転車倶楽部)の3名がファーストアタック。川勝選手だけが粘り、それを追う大きめの追走集団ができ、それが追いつくと前は28名となった。宇都宮ブリッツェンは岡、谷、武山が入り、後ろに取り残された有力チームが脚を使って前を追うことに。優勝有力候補の金子宗平選手(群馬グリフィンレーシングチーム)が先頭で積極的に牽引する姿も見られた。

 

やがて集団は1つになり、アタックがいくつか生まれるが、武山が都度反応し、集団内でも宇都宮ブリッツェンは存在感を示す。

 

レースの前半戦を決めたのが4周回目。鎌田晃輝選手(JCL TEAM UKYO)が単独アタックで45秒の差を広げる。ほどなく阿曽圭佑選手(Sparkle Oita Racing Team)、吉岡直哉選手(チームユーラシア‐iRCタイヤ)が合流し、3名の逃げとなった。これにより集団はJCL TEAM UKYOが完全に蓋をし、クルーズモードに。それを嫌った選手が追走を始め、岡も積極的に集団から飛び出すが、集団がそれを許さず。ここから集団は1つのまま、比較的遅いペースで周回を重ねる。

 

レースに大きな動きが出たのは15周回目。逃げは鎌田選手のみになっており、8名の追走に岡、谷、武山が入る。ここにはディフェンディングチャンピオンの小林海選手(JCL TEAM UKYO)や金子選手など強力なメンバーが入った。しかもその8名に内田宇海選手(弱虫ペダルサイクリングチーム)が追いつくのを沢田がチェック。追走は10名となり、その中に宇都宮ブリッツェンが4名入る展開となった。この動きは、「今日の全日本選手権はJCL TEAM UKYOと宇都宮ブリッツェンの戦いになるな」という空気を生む。

 

16周回目に鎌田選手は捕まり、22名で17周回へ。宇都宮ブリッツェンはその中に最大の4名が残り、他、主なチームの人数はJCLが3名、キナン2名、シマノ3名であった。鈴木監督はレース前「チームに有利な状況を作りながら戦う」とコメントしていたが、そのオーダー通りの動きだ。

 

そして勝負の分かれ目となったのが18周回目。小林選手がアタックし、集団がバラバラに。谷と山本元喜選手(KINAN Racing Team)がうまく抜け出し、小林選手に追いつき先頭3名となったところへ、岡、金子選手、孫崎大樹選手(ヴィクトワール広島)が追走して、6名となって19周回目に入った。この時点でも宇都宮ブリッツェン2名、JCL1名、キナン1名、群馬1名、広島1名と数的有利に。その19周回目にも再び小林選手がアタックし、谷もまた反応。今度は金子選手も反応し、山本選手もきちんとついてきたので、4名でファイナルラップに入ることとなった。

 

最終周は上りで小林選手が単独アタック。それに誰もついていけず、かろうじて山本選手が追いかけるが、差はぐんぐん開いていく。谷は遅れ、金子選手が3番手に。フィニッシュはこの並びのまま、小林選手が独走勝利、2年連続の全日本チャンピオンに輝いた。谷は4位となったが、追走に回った岡が追走グループのスプリント争いで先頭を取り5位に。沢田も10位争いのスプリントを制したことで、トップ10に宇都宮ブリッツェンは3名を入れることができた。武山も13位でフィニッシュ。優勝した小林選手から集団最後尾までは14名だったが、そのうち宇都宮ブリッツェンは4名を入れ、この全日本選手権でもチーム力を見せた。完走は34名だった。

【レース後の鈴木監督のコメント】

優勝一択で臨んだレースなので、悔しいのひと言。ただ、全選手が力を発揮し、チーム力のある宇都宮ブリッツェンに育ったというのは、実りある前半戦を終えることができたのではないかと思う。レース中盤以降、集団の中で最大4名を残すことができたが、余裕ができたぶん、毎回、集団の前方で勝負をするようなシーンが多くなってしまったかもしれない。もう少し、エースを中心に力を溜めるような、確実な動きをしていくことが今後の課題にはなると思う。岡選手が遅れたとき、その前までに他の選手は脚を使っていたので、今回は優勝は厳しいのではないかと、周回を重ねるごとに感じたことは正直なところ。谷選手は途中で動いて脚を使ってしまっていた中で前に残れたというのは、彼の自信にもなるだろうし、今後、もっとチャンスを掴んで、第1エースにのし上がって行くではないかと感じている。

【レース後の谷選手のコメント】

チームとして優勝だけを目指して走ったので、それが達成できず悔しいのが一番の感想。このコースでの全日本選手権は3回目の出場となった。毎年、力勝負になると感じていたので、チームとしては第1エースに岡選手、第2エースに僕を据えてレースに挑んだ。他チームは「ブリッツェンは岡で来るだろう」と予想すると読んでいたので、第2エースの僕のほうが動きやすいのかなと。鈴木監督からも「それを意識して練習してほしい」と言われていた。今日はオーダー通りの動きができていたのかなと思う。ただ過去最高に調子がいいと感じていながら、最後に上りで置いて行かれたので、まだまだ足りない、もっともっと強くならなければならないと痛感している。暑さ対策としては、なるべく暑い日にも走るようにしていた。岐阜出身で、岐阜は40度近い気温のこともあるため、暑さには強いほうだと思う。気候条件は比較的自分には良かった。昨年はこのコース、トラブルもあってDNFだったが、UCIポイント圏内でゴールできたのは収穫ではある。チームとしても終盤まで4枚残して、トップ10にも3人入れて、チーム力をしっかり示せたのは良かった。ただ、チームはロードの全日本選手権のタイトルを取れていない。やはりこの全日本選手権はUCIポイントではなく、全日本チャンピオンジャージだけを目指して走っていた。その目標が達成できなかったので、しっかり反省して、来年また全員で臨みたいと思う。今日も宇都宮からたくさんのファンの方が見に来てくださり、コースのいたるところで、声が枯れるほどの応援をいただいたのがわかった。それが僕たちを押してくれたと実感している。チームとしてはもう1つ大きな目標であり、ホームレースであるジャパンカップが10月にあるので、そこでまたいい姿が見せられるように、後半戦も頑張りたい。引き続き応援よろしくお願いいたします。

【レース後の岡選手のコメント】

JCLの鎌田選手が長く逃げ、チームとしては脚をしっかり温存することができて、比較的落ち着いたレースになったのかなとは思う。そんな中で、後半は本命同士の力のぶつかり合いとなり、最後、先頭4名に自分が残ることができなかったので、今回は力が足りなかったなと思っている。後半、宇都宮ブリッツェンが4名残って数的有利ではあったが、自分はちょっとキツくて、その中で谷選手が上りを軽快に上っていたので、途中で「自分のリザルトを狙って走ってほしい」と谷選手に伝えた。でも、自分も最後まで残りたかったので、本当に悔しい気持ちだ。今年は日本一になれなかったが、また1年間しっかり練習を積んでリベンジしたい。

▼リザルト

 

1位 小林海(JCL TEAM UKYO )4h47’02”

2位 山本元喜(KINAN Racing Team) +0’25”

3位 金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム) +0’56”

 

4位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +1’20”

5位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +2’32”

10位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +5’03”

13位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン) +5’09”

DNF 花田聖誠(宇都宮ブリッツェン)

 

※全リザルトは下記URLをご参照ください。(速報値)

https://matrix-sports.jp/lap/result.php?evt=250622_jprr