【レポート】2025全日本自転車競技選手権大会ジュニアロードレース
▼開催日
2025年6月29日(日)
▼コース
京都府南丹市美山町 特設ロードコース
▼出場選手
秋元 碧
▼競技概要
距離:10.3km×8laps=82.4km
出走:113名
スタート時間:10:40
▼レースレポート
この日、宇都宮ブリッツェンは3つのレースが待っていた。栃木市の渡良瀬遊水地で谷順成&岡篤志が出場する全日本選手権タイムトライアル、福島県の檜山高原で沢田時が出場するMTB XCO、そして秋元碧の走る全日本ジュニアロードだ。
未来を担うロードレーサーたちがしのぎを削る本大会は京都府美山町で開催され、今年の男子ジュニアは2007年、2008年生まれが対象になる。
2007年3月生まれの秋元は2019年から育成チームのブラウブリッツェンに加入したが、2022年に高校生になると地元宇都宮を離れて京都の北桑田高校自転車競技部の門を叩いた。
この日の舞台となる美山町と言えば、自転車ロードレース界隈では長年開催されてきた「京都美山サイクルロードレース(以下、美山ロード)」が有名だ。今年6月の第38回大会をもって惜しまれつつもその幕を閉じているが(秋元はオープン参加でレースを楽しんだ)、北桑田高校の立地はその美山ロードのコースにほど近く、高校時代の秋元が毎日のように練習で走った思い出の場所でもある。
今回は昨年の全日本ジュニア2位の平山雷斗選手(日本大学)、同3位の吉田奏太選手(倉吉西高校)、同7位の成田光志選手(学校法人石川高等学校)もエントリーしており、全国から強豪が美山に集結している。秋元にとって勝手知ったる美山の地の利を活かして、勝利につなげたいところ。
<レース前の秋元のコメント>
「ここ1ヶ月くらいレースが続き調子は上がってきている。コースは高校時代に練習でほぼ毎日走っていて、先日も美山ロードを走り、熟知しているつもり。逃げになってもいけると思うが、最後のスプリントで狙っていきたい」
<レース前の鈴木監督のコメント>
「レベルが抜けてる選手が数名いるため、そこを中心に動いていくと思う。(秋元は)ここまでチャレンジするような走り、アタックして逃げていく走りで最終的に捕まって集団から遅れてしまう。まず集団で残って勝負していく成績を狙う走りに切り替え、しっかり未来につながる走りができればいい」
全日本ジュニア、男子のコースは10.3kmを8周する82.4kmで争われる。細かなアップダウンが続き、中盤6kmから九鬼ヶ坂峠へ向かう1.5kmほどの厳しい登りが選手たちを待ち構え、その後は一転してスタート&フィニッシュ地点までダウンヒルが続くレイアウトだ。
10時40分、晴天のもとでスタートの号砲が鳴り響くと若者たちがペダルを回し始める。序盤はライバルたちの様子をうかがっていた集団だが、30分も過ぎるとじょじょに動きが出てくる。宇都宮ブリッツェンのジュニア育成チーム「ブリッツェン☆ステラ」の卒業生、沢野司(EQADS)が逃げを見せるシーンもあった。
まもなく有力メンバーを含む7名の逃げ集団が形成され、後続に20秒ほどのアドバンテージで進む。秋元はメイン集団に残されたが、危険な逃げにはすかさず対応。先頭は秋元を含む12名の逃げになったが、秋元の動きで集団はより活性化していた。後続は逃げる12名の吸収に成功すると、70名ほどの大集団に戻った。
残り4周に入ると登り区間で積極的に逃げをうつ秋元を含む5名が抜け出す形に。後続に13秒ほどタイム差をつけると、追走3名がジョイン。8名で九鬼ヶ坂峠への道を駆ける。
優勝候補ら5名によるアタックが仕掛けられるが秋元は柔軟に対応。逃げはさらに追走が加わり14名に。メイン集団とのタイム差は45秒だ。その一方で鈴木監督は「残り2周半。早い段階からの攻め、後半に脚は残せているだろうか」と懸念を抱いていた。
先頭集団では有力選手によるアタック合戦も始まり、後続とタイム差はさらに広がり1分に。しかし、ここで秋元が惜しくもドロップしてしまう。脚の攣り、また猛暑による熱中症の疑いもあった。
レースはアタックで抜け出した成田光志選手(学校法人石川高等学校)と松村拓弥選手(群馬工業高等専門学校)が並んでファイナルラップへ。最後は成田選手が底力を見せつけ、後続に11秒差の独走でスタート&フィニッシュ地点に戻りジュニアチャンピオンを獲得した。
レース後に秋元は「自分の力がまだまだ足りなくて悔しい」と語っている。リタイアは最後の2周に入って間もなく、真後ろを走行していた選手の前輪が秋元の後輪と接触し、そのタイミングで一旦ストップした際に脚を攣ってしまったためだそうだ。
113名の出走で完走は57名。約半数の56名がリタイアするサバイバルレースだった。
【レース後の鈴木監督のコメント】
秋元はここ数年、勝負所で自分から動いている感じだったので、今日は相手の動きに合わせながら上位に入れるように動いてみようと話していた。積極的な動きは見せてくれたが、今日は中盤で脚が攣りかけてダメになってしまった。
秋元はこのあと広島のレースに参加する予定になっている(7月5日開催のJBCF広島三原ロードレース)。これから修正点を改善していきながら、未完成な部分も多いが、そこを克服しながら一歩一歩成長していってほしい。私もその手助けができればと思う。
【レース後の秋元のコメント】
今回は周りの展開にあわせながら上位を目指す予定でいた。中盤に有力選手の逃げに乗れたのはよかったが、最後の2周に入ってすぐに、自分の真後ろを走っていた選手の前輪が(秋元選手の後輪に)接触して、そのタイミングで脚を攣ってしまった。一旦ストップしてしまい、そのままリタイアすることになった。残り3周の登りくらいから脚がキツい感覚はあって、(そこでリタイアしなかったとしても)ゴールに絡めたかはわからない。
トップの選手と比べたら力の差は大きい。練習あるのみで、力をつけるだけ。持久力、長い時間大きなパワーで踏み続けられるようにしたい。次週は広島のJBCFで走るので、そこで自分の中でなにかを得たい。また、大学のインターカレッジでも結果を残せるよう7月8月と練習を積んでいきたい。
▼リザルト
1位 成田光志(学校法人石川高等学校)2h00’54”
2位 新藤大翔(EQADS)+0’11”
3位 宮川結斗(倉吉西高校)+0’12”
DNF 秋元碧(宇都宮ブリッツェン)
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